先週、北欧州のフィンランドに韓国の教育系の関係者が駆けつけた。張輝国(チャン・フィグク)光州(クァンジュ)市教育監当選者、イ・チョンヨン元仁川(インチョン)市教育委員、パク・ヨングァン元釜山(プサン)市教育委員など、先の教育監選挙で、進歩単一候補に出馬した、全国教職員労働組合(全教組)出身の人物をはじめ、全教組、チャム教育学父母会など進歩陣営の関係者がほとんどだった。ソウル、光州、江原(カンウォン)、全南(チョンナム)など進歩教育監が当選した地域の教育庁公務員もいた。
このグループは「21世紀教育研究院」という団体が率いる、36人の海外教育探訪チームだった。よく知られていない団体だが、この団体を組織した人物は「フィンランド教育通」で知られた安承文(アン・スンムン)元ソウル市教育委員だ。安元委員は教育監選挙で、進歩陣営の善戦に大きく貢献した「教育希望ネットワーク」を組織した。彼は21世紀教育研究員の名で、昨年からフィンランド教育探訪の引率者の役割をしているが、今回が3回目だ。
一部では、任意団体が主導する海外探訪に市道教育庁の公務員が、出張で参加するのは問題があるという指摘も出ている。ソウル市教育庁の関係者は、「専門性と公信力を備えた外部機関に、海外出張計画を任せる場合はあるが、非公式団体の探訪に公務員が付いていくのは珍しい」と話した。今回のフィンランド探訪に参加したソウル市教育庁の奨学士は、「革新学校のモデルを調べろという郭魯鍱(クァク・ノヒョン)教育監の指示で来た」とし、「本庁の公務国外旅行の審査で問題なく承認を受けた」と話した。
教育界のフィンランドブームはこれからも続く見通しだ。昨年から出始めた教育書籍は、今年だけで10冊を越える。教育関連民間団体のフィンランド訪問が後を立たず、ソウル市教育庁傘下の教育研修院でも、フィンランド教育講座を開いている。郭魯鍱ソウル市教育監も今月末、フィンランドへ出張に行く予定だ。先月、フィンランド教育部のある関係者は、取材要請をする記者に「韓国からとてもよく来ているが、また来る必要があるのか」と聞き返したりもした。
進歩陣営がフィンランドに集中する理由は、学業成就度国際比較研究(PISA)で、毎回最高の成果を記録する教育強国であるという点のほか、「平等教育」をはっきりと見せてくれる国という点が大きく働く。フィンランドは、国が主導する学業成就度評価が別になく、高等教育まで全ての教育費が無償だ。教員を評価する枠組みもない。進歩陣営の主張である「学業成就度評価の廃止」「無償給食・無償教育」「教員評価の廃止」などを既に実現した国である。
しかし、教育界では「人口500万のフィンランドの教育と韓国の教育を、真っ向から比較するのは難しい」という声も少なくない。ある高校の校長は、「フィンランドには高等学校ごとに、入学可能な点数が確実に分かれている一種の『高校等級制』があるが、進歩陣営では、この点を見過ごしている」と指摘した。
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