中学校2年生の男子生徒が父親が勉強しろと小言を言うという理由で家に火を付け、一家族4人を死亡させた事件は、今時の青少年の心理状態はもちろん、親と子のコミュニケーションの断絶を示していると指摘されている。
22日、ソウル城東(ソンドン)警察署で帽子を深くかぶったまま警察の取り調べを受けていた李某容疑者(13)は、172センチに76キロのがっちりした体格だったが、顔はまだまだ子どものようだった。李容疑者の中学校1年生の時の担任教師は、李容疑者を肯定的で良い子に覚えていた。
同教師は、「1年生の時班長に選ばれるほど責任感とリーダーシップが強かった。趣味でデジタル・カメラのサークルで活動し、ダンスとファッションに関心が高かったが、こんな大変なことを犯すとは夢にも思わなかった」と話した。さらに、「李君の父親が毎日車で学校まで送っていた。進路相談の時も『両親と大きな葛藤はなかったが、父親が私への期待が高くて怒り出すと怖い』と言っていたことが思い出される」と話した。李容疑者の自宅周辺の住民は「夜、大声がよく聞こえた」と伝えた。
●疎通不在・欲求挫折の時は攻撃的行動
今回の事件は親と子の間で期待水準が違い、葛藤を適切に調整できなかったために恐ろしい事件に飛び火したが、このような問題はこの家庭だけの問題でないはずと、専門家は指摘する。
自分の価値観や期待水準を子どもに過度に要求する親と、自由奔放に育ってこれを受け入れられない今時の青少年の特性を理解できずに疎通が断絶してしまったからだ。社会の変化に伴い、青少年は親と子の関係を「友だち」のような対等な関係と認識しているが、親や大人が自分を不当に抑圧すると考えると、ひどい場合極端な攻撃的な行動に出るということだ。
延世(ヨンセ)大学心理学科のファン・サンミン教授は、「社会が物質的に豊かになり、自分の欲求を直ちに満たそうとする心理が大きくなった。青少年も欲求が挫折した時の不満がすぐ攻撃的な行動として現れる」と話した。ある中学校教師は、「生徒らが問題を起こした場合、できるなら警察署に任せる。前は厳しく訓戒するのが美徳だったが、最近は教育庁で頭髪自律化、体罰禁止などを無理に推進し、家庭も学校も子どもたちをきちんと統制できなくなった」と話した。
●思春期の子どもへの暴行は禁物
専門家は李容疑者のような極端な結果を避けるためには、子どもを認めず、親の価値観を強要するような行動は避けるべきと指摘した。ソウルアサン病院精神科のチョン・ソクフン教授は、「既成世代の価値を強制しようとする場合、何ら効果もなく反感ばかり高まってしまう。持続的な対話を通じた信頼回復が唯一な解決策」と話した。
子どもが思春期の兆候を見せる場合、どのような場合でも暴力を行使するのは避けるべきという指摘も出た。建国(コングク)大学神経精神科のハ・ジヒョン教授は、「どのような場合でも子どもに手を出すのは避けなければならない。子どもが今回の事件のように極端な選択に走る恐れがあるため、物理的に抑圧する行為は極力避けるべき」と話した。
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