05年から今年の「6・2地方選挙」まで、郡守選挙を5回も行った慶尚北道清道郡(キョンサンプクト・チョンドグン)の住民は、「選挙」の話が出ると背を向ける。当選した3人が、不法選挙と不正疑惑で無効となり、2度の地方選挙のほかに再・補欠選を3度も行った。07年12月の再選挙の時は、金品授受の容疑を受けた住民2人が命を絶ち、約1400人が検挙された。再・補欠選で、財政自立度が10%にすぎない清道郡は、毎回約5億ウォンの選挙費用を支出した。
国会議員と地方自治体首長、地方議員の当選無効などで生じた空席の再・補欠選は、00年から毎年前・後期に2回、定例化された。今年までの11年間、22回の再・補欠選に約1710億ウォンの税金が投入されている。中央選挙管理委員会が、国庫と地方自治体が負担した選挙費用だけを計算してこの程度だ。候補者とその家族や親戚、後援者、そして、所属政党が使用した合法的な費用まで加えれば、莫大な資金が選挙に使われたものと推定される。オ・グンソプ元慶尚南道梁山(キョンサンナムド・ヤンサン)市長が昨年自殺し、選挙で60億ウォンの借金をしていたことが明らかになった。地方選挙で候補者が使用する費用の規模がうかがえる。
国会議員や地方選挙で選出する公職は、国民と地域住民を代表するという性格があり、空席が生じれば、新たに選出することが望ましい。しかし、不法選挙をした候補者のために支払う再・補欠選の費用全額を国民が負担するシステムには問題がある。不法選挙運動などで再・補欠選の原因となった候補者と政党に懲罰の次元で、選挙費用を分担させる案を積極的に検討する必要がある。現行法に、不法選挙疑惑がある当選者を刑事処罰し、公職から追放する強力な制度があるにもかかわらず、不法選挙が続いているのは、自浄能力がない政党の責任が大きい。
日本では、衆・参両院の議員が議員職を喪失すれば、有効投票の6分の1以上を得票した2位の候補が継承することになっている。フランスは、地方議員選挙の際、補充候補がランニングメイトとして共に出馬し、空席が生じた場合、補充候補がその後に就く。韓国も、再・補欠選の弊害と浪費的要素を最小化できるよう制度を再検討する時が来た。20〜30%程度の再・補欠選の投票率が、住民の代表性を持っていると言えるのかも疑問だ。与党と野党が、議員、市長、郡守を選ぶ再・補欠選を政権の中間評価のように全て含めることも、政治の浪費だ。