「米国の政治がこのように険悪な理由は、また、事実や科学が、そして論理に沿った主張が勝つことができない理由は、米国が恐怖に陥り、明確に考えられないためだ」。米国の中間選挙の遊説でしたオバマ大統領のこの発言は、激しい論争を巻き起こした。複雑な文章を短く要約すれば、「民主党の政権運営がうまくいかないのは、有権者が分かっていないためだ」という不満だ。そのため、大統領と民主党だけが優秀で、普通の人々は「愚衆」ということか、という反発が起きた。
◆オバマ大統領の「大きい政府」に反対する保守主義運動団体の「ティーパーティー」の人々は、米国がニュー・エリート(New Elite)に奪取されたと主張する。過去、東部出身の富裕階級で名門大学出身が、政治を独占したが、オバマ大統領に代表されるニュー・エリートは、少し違う。最高の名門大学を出て、卓越した能力と努力をもとに、専門性を身に付け成功したというのが特徴だ。そのため、普通の人々にとっては、より一層おもしろくないのだ。過去のように、「あの人はいい両親のもとに生まれたので成功したのだろう」とは言えなくなり、システムではなく自分の怠惰や過ちを認めなければならないためだ。
◆米国には、映画「フォレスト・ガンプ」のように、普通の人々の偉大さを好み、信じたいという反知性主義の伝統がある。庶民の痛みが分からず、大衆とかけ離れていながら、教授のように国民を教え諭そうとする大統領に、白人労働者層の男性から背を向け始めた。国民を見下す大統領は、エリート意識に陥ったエリート主義者(Elitist)であり、エリートが宇宙を支配しなければならないと信じるエリート支配主義(Elitism)にとらわれているという論議が、各メディアで起きた。
◆米国の11・2中間選挙は、反エリート主義の勝利として記憶されるかも知れない。反エリート主義が望ましいとは限らないが、政治家に重要な教訓を与えることができそうだ。エリートが真のエリートとして残るには、決して偉ぶってはいけないということだ。確かに、韓国の政治家は、すでに「貧民出身」を掲げ「庶民マーケティング」を始めている。普通の人々も知っている教訓がもう一つある。一時、人を愛に陥らせたポイントが、後に愛想をつかせる原因になることもあるという点だ。オバマ大統領のクールな知性がそうしたように。
金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com