サッカーW杯南アフリカ大会・韓国代表チームの主治医だったソン・ジュンソプ博士は、李栄杓(イ・ヨンピョ=アル・ヒラル)から朴智星(パク・チソン=マンチェスター・ユナイテッド)についての評価を聞いたことがある。
李栄杓は、オランダのPSVアイントホーヘンで一緒に活躍したことがあり、朴智星の一番の理解者の一人だ。その彼が、「朴智星がマンUのスター選手たちの中で生き延びていることだけでもどれだけ凄い選手かを物語っている」と話したという。
朴智星は、W杯南ア大会で主将腕章をつけて韓国の海外開催W杯で史上初のベスト16入りをけん引したが、大会後に所属チームに戻ってからのプレーは期待に及ばなかった。マンUのアレックス・ファーガソン監督(写真)は、今シーズン、彼に出場機会をなかなか与えなかった。攻撃が以前に比べて劣っているという冷静な評価だった。チーム内の存在感も薄くなりつつあった。
しかし、やっぱり危機に強い男だった。朴智星は7日、オールドトラッフォードで行われたウルバーハンプトンとのプレミアリーグ・ホーム戦にフルタイム出場し、前半45分に先制ゴールを決めたのに続き、試合終了直前には決勝ゴールを決め、劇的な2−1勝利をけん引した。
球場を埋め尽くしたホームファンの前で存在価値を印象付けたのだ。先制ゴールは今シーズン・プレミアリーグの初得点だった。朴智星は、カップ大会のカーリング杯で2得点したが、プレミアリーグではまだ得点がなかった。
最近、ルーニー、ギグス、ナニ、バレンシアなど主力たちの相次ぐ負傷に見舞われているマンUにとっては危機的状況だったが、朴智星には機会だったし、それを逃すことはなかった。
MFで出場した朴智星は、前半45分、ダレン・フレッチャーのパスを中央ペナリティエリアで受け取り、右足で先制ゴールを決めた。マンUは後半21分、相手チームのFWシルバン・イーバンクスブレークに同点弾を許したが、これは朴智星にドラマを演じる舞台を作ってくれた格好になった。
試合終了と思いきや、後半のロスタイムに朴智星がペナルティエリアの右から左へ攻め込みながら、相手DF4人を一瞬にして交わしては左足のシュートを放ち、決勝弾を炸裂させた。朴智星は、「決勝ゴールにすべての観客が飛び上がって歓呼した。信じられない瞬間だった」と語った。
ファーガソン監督は、「朴智星が本当に驚くべき活躍をした」と言い、「最近チームで最高の選手の一人だ」と絶賛した。先日まで、シーズン終了後にマンUを離れる選手の一人に地元メディアが取り上げていた状況を一変させる結果だった。
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