延坪(ヨンピョン)島砲撃の砲煙がまだ冷めやらない西海(ソヘ・黄海)に、再び緊張が高まっている。北朝鮮は、28日から西海で、空母を動員した韓米連合軍事演習が実施されるという情報が伝えられた直後、「南朝鮮が再び軍事的挑発をすれば、躊躇なく、2次、3次の物理的報復打撃を加える」と威嚇した。北朝鮮国連代表部も、東亜(トンア)日報の電話取材に対し、「領海も明白な領土だ」とし、「共和国(北朝鮮)は、一度も領土に対する侵犯を許したことはない」と述べた。
米国の韓半島専門家らも、北朝鮮のさらなる挑発の可能性を憂慮した。専門家らは、「休戦後、初めて韓国の島を攻撃したことで、『タブーライン』を越えた北朝鮮が、再び同水準、またはより強力な挑発に出る確率は十分にある」ということだ。北朝鮮の最も強力な後見人である中国も、西海上の軍事演習に対し憂慮するという考えを示している。
●北朝鮮「軍の砲門は開いた状態」
北朝鮮軍板門店(パンムンジョム)代表部は25日、在韓国連軍司令部が24日に、北朝鮮の延坪島砲撃と関連して送った将官級会談を拒否する通知文で、「朝鮮の西海が紛争水域になったことは、米国が、我々の領海に勝手に引いた北方限界線(NLL)のためだ。南朝鮮が再び軍事挑発をすれば、躊躇なく2次、3次の物理的報復打撃を加える」と述べたと、朝鮮中央通信が報じた。
北朝鮮軍は、通知文で、「今回起こった事態は、休戦協定の違反者が南朝鮮で、西海に紛争の火種をまいたのは米国だという事実を示している。米軍が、韓半島の緊張緩和を望むなら、南朝鮮が北方限界線を守るために、海上侵犯と砲射撃のような軍事挑発ができないようにしなければならない」と主張した。また、通知文は、23日に韓国軍が西海で実施した訓練について、「徹頭徹尾、事前に計画された軍事挑発であり、事実上の戦争行為だ」と規定し、「我が軍隊の自衛的措置によって懲罰を受けることになった」という主張を繰り返した。
●北朝鮮国連代表部「領土侵犯を許したことはない」
北朝鮮国連代表部は24日(現地時間)、延坪島砲撃と関連し、「南朝鮮が、我が共和国の領海で、先に砲射撃をした。我々は、一度も領土に対する侵犯を許したことはない」と主張した。北朝鮮代表部関係者は同日、本紙との5分間の電話取材で、「領海も厳然たる領土の一部という点で、韓国は、軍事訓練で(先に)砲射撃をし、危険な情勢を作った」と強調した。
同関係者は、「南朝鮮が、我々の地域に近い場所で、11月23日午後1時頃、砲訓練をすると言い、先に砲射撃をした。ニューヨークの沖合で砲射撃をすれば、米国であっても黙っているだろうか。挑発の責任は、全面的に南朝鮮にある。しかし、そちらが黙っているなら、我々も追加対応はしない」と述べた。
現在、北朝鮮国連代表部には、申善虎(シン・ソンホ)大使を含め、8人の北朝鮮外交官がいる。国連関連と米国との2国間関係の2つの政務的機能を遂行する。対米関係は、韓成烈(ハン・ソンリョル)次席大使と保衛部出身の金明吉(キム・ミョンギル)公使が担っており、米国務省のソン・キム対北朝鮮特使とともに、いわゆる「ニューヨークチャネル」を維持している。国連業務は、朴徳勲(パク・ドクフン)次席大使が取り仕切って運営されているという。
●「陸海空どこからも、挑発の可能性が高い」
ブッシュ政府時代、国家安全保障会議(NSC)アジア担当補佐官を務めたビクター・チャー・ジョージタウン大学教授は、「最近の一連の状況を総合すると、北朝鮮の挑発行為の間隔は、早くなる可能性が高く、これは、北朝鮮内部の不安定性の増大、権力継承の過程、または、この2つの事案の複合的要因のためとみえる。韓米連合軍事演習は、追加挑発の口実になると考えられる」と指摘した。
米国防情報局(DIA)で、北東アジア担当の分析官を務めた軍事専門家のブルース・ペクトル・アンジェロ州立大学教授も、「NLL問題は、94年の権力継承完成の直後から、金正日(キム・ジョンイル)総書記の重点アジェンダだった。砲攻撃になるのか、海軍攻撃になるのか、空軍力による攻撃になるのか、分からないが、状況の変化により、さらなる攻撃があるだろう」と見通した。
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