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[オピニオン]郭魯鍱と統一安保教育

Posted November. 27, 2010 06:22,   

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「わが国で戦争が起きたの?」。北朝鮮が延坪島(ヨンピョンド)に対し攻撃を行った日、小学校2年生の息子が自宅に駆け込みながら聞いてきた。同日、広州アジア大会で行われる予定だった韓国とアラブ首長国連邦(UAE)とのサッカーへの関心は消えていった。砲弾の煙が立ち上っている延坪島をテレビで見ながら、小ざかしく軍隊に入ることを心配した。白昼に我が領土に砲弾が打ち込まれる事態は、小さな世代には平穏な日常を揺さぶる衝撃的な体験だったはずだ。平和はただで与えられるものではないことに気付いたら、貴重な経験になるだろう。

◆今年は韓国戦争勃発60周年になる年だ。長い歳月の間隙ほど、世代間の国家観や安保意識に、膨大な乖離が存在する。行政安全部が今年6月、成人や青少年を対象に、安保意識について調査を行った結果、成人は100点満点に60.23点、青少年は49.16点を記録した。韓国戦争勃発年度は1950年だという事実をきちんと知っている回答者は成人は63.7%、青少年は46.3%に過ぎなかった。3月の哨戒艦「天安(チョナン)艦」沈没事件により、将兵らが犠牲になり、我が社会の安保意識が高まったというのに、この程度だ。

◆郭魯鍱(クァク・ノヒョン)ソウル市教育監は11年度に、統一安保観の確立に向けた学芸行事や統一展望台、地下通路、板門店(パンムンジョム)などの現場体験学習や統一安保教材の普及など、統一安保教育予算を全額削減した。無償給食予算(1162億ウォン)の確保のため、統一安保教育を犠牲にしたのだ。判断力の足りない児童・生徒らが、「韓国戦争は北侵」のようなとんでもないインターネットの怪談に虜になるのは、既成世代がきちんと教育をさせなかった責任が大きい。同じ民族であり統一対象でありながら、膨大な火力を集中させ、対立している南北関係の特殊性や北朝鮮の実態を正しく知らせる責務が、既成世代にはある。

◆延坪島挑発直後、ソウル市教育庁は安保意識を目覚めさせ、平和を守るための契機教育を、12月初頭まで各学校で実施すると、昨日あたふたと発表した。趣旨も真剣さも疑わしい。北朝鮮の大規模な挑発があったときに、その時だけの契機教育をして済むことではない。世界唯一の分断国家であるわが国が、どのような集団と向かい合っているのかを、常時教育を通して教えなければならない。我が領土が攻撃を受け、民間人や将兵が死亡したのに、無償給食が統一安保教育より重要だとも思うのか、郭教育監に聞いてみたい。全面的な無償給食が国家守護より優位にある時代精神ともいうのだろうか。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com