国連国際刑事裁判所(ICC)が、北朝鮮の延坪(ヨンピョン)島砲撃や哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没事件と関連し、北朝鮮軍の戦争犯罪かどうかを検討する調査に着手した。ICCは、戦争犯罪やジェノサイド、人道的犯罪など、国際犯罪に責任ある個人を訴追し、刑事処罰にするために02年に創設された。韓国政府は、ICCの調査の着手に歓迎の意を表明し、積極的に協力する方針だ。
ICCの憲章である「ローマ規定」は、敵対行為に直接参加していない民間人や、軍事ターゲットではない物への、故意の攻撃を戦争犯罪と規定している。北朝鮮が、延坪島の民間人の地域まで無差別攻撃し、多数の死傷者を出した行為は、戦争犯罪に該当するというのが、国際法専門家らの見解だ。北朝鮮の独裁権力者、金正日(キム・ジョンイル)総書記と、後継者である金正恩(キム・ジョンウン)氏の責任が、非常に大きいという点にも共感が形成されている。
金正日総書記は今年6月、韓国や海外の人権団体の会である反人道犯罪調査委員会により、天安艦沈没の責任者として、すでに告発されている。人権団体フリーダムナウ代表のジェロード・ゲンザー氏は、「天安艦事件は、敵対行為の終息を規定した53年の休戦協定違反であるため、『北朝鮮の故意で欺瞞な行為』と見ることができる」とし、ICCへの付託が可能だと明らかにした。同委員会は昨年12月、脱北者約150人が北朝鮮で受けた人権被害を取り上げ、金正日総書記をICCに告発した。金総書記は02年、日本の小泉純一郎首相に認めた70、80年代の日本人拉致事件でもICCの処罰対象だ。
北朝鮮はICC加入国でないため、ICCが金正日親子を直接調査、起訴し、実質的な処罰まで与えるには限界があるかもしれない。しかし、彼らの犯罪の実状を国際社会に広く知らしめ、南北統一の後でも、金正日親子を処罰するためには、ICCの徹底した調査と証拠確保が必要だ。
韓国の国家人権委員会は6日、対北朝鮮放送やビラの散布を通じ、北朝鮮住民に情報接近権を与え、北朝鮮人権法を制定することを政府と国会に勧告した。これは、人権委が北朝鮮の人権問題を本格的に扱い始めたという点で意味がある。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)左派政権時代の人権委は、北朝鮮の人権問題を直視しなかった。国会は、人権委の勧告を積極的に受け入れ、法制司法委員会で眠っている北朝鮮人権法を、早期に可決しなければならない。政府も、北朝鮮の住民が、外の世界と北朝鮮内部の現実を比較できるよう、様々な手段と方法を講じ、関連団体の活動を実質的に支援する必要がある。