「主要4河川事業が、自然環境に致命的な損傷を及ぼすことを深刻に懸念している」。カトリック最高意思決定機構の司教会議が今年3月、声明を発表すると、戸惑うカトリック教徒らは少なくなかった。「主要4河川反対説教は聞きたくなく、聖堂に行きたくない」という信者も多かった。元老司祭の金ゲチュン・ドミニク神父は、一般信者のインターネットジャーナル「荒野の声」で、「誰かが、純朴な神父らに渡した資料を見て、大勢の司祭らが同意しただろう」とし、「司祭は、信じることには精通している人たちなので、誰よりも騙されやすい」と説明した。
◆鄭鎭奭(チョン・ジンソク)枢機卿が昨日、「司教会議の決定は、4河川事業が自然破壊や乱開発の危険性が見られると言っただけで、反対を主張したのではない」と明らかにした。これまで、4河川事業には反対だといわれてきたカトリックの見解を、事実上、覆した。鄭枢機卿は「司教会議の決定は、乱開発への懸念を示し、危険を克服する方法として、主要4河川の開発に努力すべきだと促す意味と解釈することもできる」と語った。
◆「4河川の深層的な問題についての判断は、自然科学者や土木専門家などの専門家らが行うべきことだ」という鄭枢機卿の発言には、個人的、科学的な背景もあるものとみられる。鄭枢機卿は、カトリック大学・神学部に入学する前、ソウル大学化学工学科に通ったエンジニア候補生だった。父親は、北朝鮮で工業省次官を務めた。「開発は破壊と同格ではなく、主要4河川を巡る賛否主張は、宗教分野ではない」と、はっきり一線を画したことも、このような理工系気質の発露ではないかと思う。
◆鄭枢機卿が社会的な発言を自制していると映ることもあるが、必要不可欠な場合は発言を行っている。今年4月には主要4河川事業と関連し、「国民が納得できるように十分説明を行うべきだった」とし、コミュニケーション不足を指摘し、昨年、民主党議員らに対し、「与野党が国会で争うことは見せないでほしい」と話した。08年、米国産牛肉問題を巡るデモの際には、「街頭政治ではない国会での代議政治をしてほしい」と訴えた。昨日、「専門家でない専門家」らが、ところかまわず口出しする世態について発言したのは、特に、耳を傾ける価値がある。「私は、自分が専門家でない部分については触れたくない」。
金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com