国内売上高トップのアウトドアブランド「ノースフェイス」を生産する永元(ヨンウォン)貿易のバングラデッシュ・チッタゴン工場で、労働者数万人が暴動を起こし、地元の労働者3人が死亡し、250人余りが怪我をした。バングラデッシュの労働者は熟練度によって、1級から7級まで分類され、等級による賃金が支払われている。今年、バングラデッシュ政府は、7級労働者を対象に、最低賃金制を導入し、賃上げを行った。すると、残りの1〜6級の労働者も同等に賃上げを行うよう要求し、デモが発生した。
◆デモ隊はチッタゴン地域のほかの韓国企業に対しても攻撃を加えた。今回の暴動が反韓感情の引き金になるのではないか懸念する。永元貿易は1987年、いち早くバングラデッシュに進出し、他社ブランド製品製造方式(OEM)で製品を生産している。縫製業の特性上、賃金の安い国で製品を作り、コストを下げてこそ、輸出競争力を高めることができる。しかし、地元の労働者は日増しに高い賃上げを要求し、対立が高まっている。さらに、バングラデッシュには合法的労組がなく、労働者の要求は緩衝装置がないため、暴力デモへと直結する可能性を抱えていた。
◆今年、台湾企業のフォックスコンの中国現地工場の労働者13人が相次いで自殺し、大きな衝撃を与えた。同工場の労働者は、低賃金や超過勤務による苦痛を訴えた。今年6月、日本のホンダ自動車の中国工場で、賃上げを要求する大規模なストが起き、工場稼動が全面中止となった。中国の労働者賃金が上がると、賃金がさらに安いところを求め、ベトナムへと工場を移転する韓国企業も増えている。労働者はより多くの賃金を受け取るためにデモを行ったが、今回のような過激な暴力デモは結局、外国企業を追い出し、労働者は職場を失い、さらに厳しい状況を招く。
◆米国や欧州などの先進国に進出した韓国企業各社も、人種差別やセクハラ、宗教的慣習のような不慣れなイッシューのため、労働者の反発を招き、それが訴訟につながり、企業活動の辛苦をなめる。これまで、我が企業は、安価な労働力の活用や先進企業に追いつける戦略を通じ、グローバル化を図ってきた。もはやそれだけでは足らず、グローバル人事管理が、海外経営の中核にならざるを得ないことを、今回の事態は示している。グローバル化に劣らぬほど、現地化が海外進出の成否を分ける中核要因になっている。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com