アイフォン国内販売の長年のネックだった位置情報サービス事業者への規制が緩和されたのは09年11月18日だった。KTは10日後の11月28日、アイフォンの販売を開始した。それから1年。携帯電話市場はもとより、モバイルやソフトウェアから政治、社会、文化、さらに人間関係に至るまで、我々は世界が変わったような変化を経験している。情報通信(IT)市場への参入や有無線の統合、放送通信の融合を頑なに拒んでいた「ガン的規制」を無くしたことで、今年、我々はIT新大国へと再び跳躍できる足がかりを作った。
10年の最後の日、1年前のIT規制のように、切り捨てるものは果敢に切り捨ててほしい。昨日、開かれた「新年業務報告を決算する長官・次官の討論会」の3大議題の一つがサービス産業の活性化だった。教育や医療から規制を取り払えば、11年、我々は教育や医療サービスの新天地を経験できるだろう。
IT規制の緩和を大手企業のような既得権層が妨げとなっていたが、教育や医療分野は平等理念が妨げとなっている。教育や医療は、質の高い雇用を創出できる有望なサービス分野といわれている。世界最高を自負する我が国の教育熱は、世界最高の教育市場が繁盛できる土壌となっている。最も早いテンポで進められている高齢化も同様に、老人向け医療サービス業のエネルギーとして活用することができる。外国の競争力あるエリート教育機関や、最高水準の医療サービスに門戸を開くと同時に、国内の規制を果敢に緩和すれば、スマートフォンのような新しい世界が開かれるだろう。
特に質の高い教育や医療サービスは、外国まで出向く機会のない庶民には、むしろ大きく役立つ。放課後学校や保育施設はもとより、生涯教育や遠隔教育、遠隔医療、家庭内介護、リハビリなど様々な分野で、よい雇用が創出されるだろう。李明博(イ・ミョンバク)政権の庶民寄り中道実利路線に決して反する政策ではない。
ガン的規制の切り捨てに、一番大きな障害は既得権を手放そうとしない利益集団と、彼らと一味となり、魂まで失った官僚集団、そして、票獲得のため、国民に迎合する政治集団だ。地方選挙で全面的な無償給食の公約を掲げ、味を占めた左派勢力や民主党は、今後、無償教育や無償医療まで掲げる構えを見せている。与党ハンナラ党も、庶民寄り政策と打ち出し、民主党に劣らぬほどポピュリズム政策を乱発している。
政府が先導し、創出する「社会的雇用」は、国民の税金を蝕んでいながら、民間市場で自主的に作られている雇用に比べ、質が大幅に下がっている。再選に気を使う必要の無い李明博大統領が、票を意識せず、国や国民を考え、問題にアプローチするなら、答えは明白だ。1年前、IT規制を緩和したように、サービス規制を緩和し、民間の活力や創意性を自主的に躍進させるべきだ。古い規制は、旧年とともに去ってほしい。