国連食糧農業機関(FAO)が発表した1月の食品価格指数は230.7と、1990年統計を取り始めて以来最高値を記録した。肉類や砂糖、乳製品、米、トウモロコシなどの主要食品の国際卸売り価格を調査し、毎月発表する同指数は、7ヵ月間連続して上昇した。世界的な気象異変や世界景気の回復の勢いにより、供給が需要に追いつけない上、最近のチュニジアとエジプトの事態も、価格高騰に一役買った。
原油価格や原材料価格も大幅に値上がりしている。北海産ブレント油は2年3ヵ月ぶりに、1バレル=100ドルを超え、ドバイ油も1バレル=97ドルへと跳ね上がった。ベネズエラのラファエル・ラミネス石油長官は、「エジプト事態が悪化し、もし、スエズ運河が閉鎖されることになれば、国際原油価格は1バレル=200ドルまで高騰しかねない」という予測を発表した。銅の先物価格も、1ポンド=4.6ドルに迫り、史上最高値を記録した。
我が国は、異常寒波や口蹄疫の影響により、年明けから農畜産物の価格が高騰した。さらに、海外からよし寄せてくる原材料や食品、穀物、原油価格が軒並み高騰し、庶民や中間層の家計はもとより、企業や国家経済にも深刻な影響を及ぼす可能性が高まっている。資源貧国の韓国が、海外発インフレの衝撃に特に脆弱なことを考慮すれば、物価上昇や国際収支の悪化、経済成長の減速が一緒の現れかねない。ややすれば、グローバル経済危機以降、割合早いテンポで回復振りを見せていた国内景気が、再び冷え込む可能性も排除できない。
09年、韓国の食糧自給率は57%、飼料用を含めた穀物の自給率は26.7%と、共に史上最低だった。米の自給率は101%と、需給の均衡点をようやく越えているだけで、小麦(0.9%)やトウモロコシ(4%)、大豆(32.5%)、麦(44.3%)は、国内生産量が需要の半分にも達していない。さらに、食品産業の参入壁が高く、流通構造の有効性も落ちている。食品物価の不安に対処するためには、膨大な保管コストがかかる米消費を増やし、食品産業の参入壁を大幅に下げる必要がある。
政府は今年の経済運用計画で、年平均の原油価格を、ドバイ油基準で1バレル=80ドルと見込んだが、このまま続くことになれば、一段と上回る可能性がある。他の原材料や輸入食品価格も同様だ。政府や企業、家計など全ての経済主体が、危機意識や警戒心を持たなければならない。政府は、海外発インフレ衝撃を最小化するため、様々な原材料や食品、穀物の輸入関税を暫定的に引き下げるなど、弾力的に政策を運用するのが望ましい。企業はコスト削減や経営革新を通じ、競争力を維持する道しかない。