国内の金融業界史上最悪の金融電算障害が起こり、農協では事故発生3日目の昨日までも完全復旧に失敗し、利用客が大きな不便を強いられた。同日午後までもクレジッドカードのキャッシュローンとチェックカードの利用、インターネットバンキングなど多くの業務が再開されなかったか、復旧されたあとも影響が続いた。農協利用客は、中央会だけで1900万人。単位農協を入れると約3000万に上り、最悪の金融電算障害として記録されることになった。
12日午後5時10分ころ、農協中央会本店の電算システムにサーバーの運営システム(OS)削除を指示する命令文が入り、業務用システムファイルを削除しては、勝手にファイルを設置した。19時間ほど、農協の金融取引が全て麻痺した。農協電算網サーバーの維持保守を担当している韓国IBM職員のノートパソコンから削除命令が出されたことは確認したが、同職員は自分がしたことではないと否認している。ファイル削除が同職員のミスか故意によるものなのか、農協内部者が問題のパソコンを使って犯行を行ったのか、あるいは外部のハッカーによる犯行なのかを解明することが急務だ。単なる事故と見るには納得がいかないという見方もある。
外部協力会社の一人の職員のパソコンを通じてOS削除命令が出されたことで金融取引がストップしたことは、農協電算網のセキュリティや管理システムが少なくとも相互監視機能さえも作動しなかったくらい、酷い水準であることを物語る。都市銀行の関係者たちが、「関連職員100人以上が共謀しない限り、今回のような大型の電算障害は起こり難い」と言うほどだ。
事態発生後も農協は原因の把握や復旧でも後手後手の対処で慌てふためいた。来年に信用事業と経済事業を分離する計画を進めている農協の危機管理能力が嘆かわしい水準だ。検察と金融監督院は、ファイル削除命令を出した犯人を迅速に突き止めるのはもちろん、農協の無神経なセキュウリティ体質に対する責任も厳重に問うべきだ。金融電算網の障害による利用客の被害に対する経済的な補償も欠かせない。
現代(ヒョンデ)キャピタル利用客情報流出事件と農協電算網麻痺時代のように、金融を取り巻くセキュリティ絡みの事故事件が相次ぎ、利用客は不安感が募らせている。金融機関の経営においては、利用客が預けた資金を安全に管理するセキュリティこそ最重要課題だ。にも関わらず、金融機関ではセキュリティへの投資が優先順位で後回しになりがちだ。一連のトラブルが金融機関の最高経営者(CEO)たちがセキュリティ対策への認識を高める契機になるなら、それは不幸中の幸いと言えよう。