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[オピニオン]クリネックスフィクション

[オピニオン]クリネックスフィクション

Posted April. 18, 2011 10:03,   

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申京淑(シン・ギョンスク)の小説『オンマをお願い』の英語版が、米国ニューヨークタイムズ紙のベストセラー21位となった。韓国の文学作品が同紙のベストセラーランク入りを果たしたのは今回が初めて。5日付のニューヨークタイムズは、『オンマをお願い』の書評を掲載し、「あまりの美しさと悲しみで忘れられないほどの余白を持つ申京淑の作品は、話し手を変え続きながら、驚くほどスピーディーに悲しみを表現した」と絶賛した。

◆しかし、「韓国の文学は米国市場でも通じる」と喜んでいた韓国の読者をがっかるさせるニュースがあった。米公営ラジオNPRに書評を投稿しているジョージタウン大学のモーリーン・コリガン教授が5日、同書を酷評したということ。米国推理作家協会の副編集長を務めるコリガン教授は99年批評部門で、米国生まれの小説家エドガー・アラン・ポーを称えるエドガー賞を受賞した影響力のある批評家だ。同氏は「大都市への罪悪感旅行」というタイトルの書評で、「韓国の文学ジャンルのうち、巧妙に泣かせるお姉さん好みのメロドラマの頂点」とし「キムチくさい『クリネックス小説』が与える安っぽい癒しに頼るな」と述べている。

◆母性そのものは人類普遍の感情だが、母性に対する観点とアプローチは東西で異なる。米国人は「お母さん」を「家族のために全てを犠牲にする存在」と思わない。実際にコリガン教授は「同書では、お母さんが不幸な理由は、夫と(お母さんに)ありがたいと思わない子供のためとしているが、これは米国の文化からすると分かりにくい」と評価した。韓国人は米国的素材や価値観に慣れているが、米国人は韓国の文化に接する機会がほとんど無い。

◆国内で150万部も売れた人気小説が、「クリネックスフィクション」という悪評を受けたのは決して気分の良いことではない。しかし、批評は批評に過ぎない。「結婚式祝辞批評」と言われるほど賞賛ばかりの韓国式批評に慣れている人なら戸惑うだろうが、これほどの辛口批評は米国ではよくあることだ。作品を酷評したからといって「人種差別」と謝罪を求める韓国の一部ネットユーザーの軽率な行動が、むしろ米国で話題にならないか心配だ。どの国でも批評家の観点と読者の考えが必ずしも一致するわけではない。今『オンマをお願い』が米国で売れているという事実が重要なのだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com