米ボストンを訪問中の呉世勲(オ・セフン)ソウル市長が19日、ハーバード大学での講演で、「韓国が絶体絶命の分岐点にある状況で、責任を感じた」と述べた。同日の講演のテーマは、「ソウル市政」だったが、実際の発言で呉市長は、戦術核の導入、原子力発電所の安全問題など、国家的な話題にまで言及した。進退問題については、「政治は流動的」と述べ、来年の大統領選挙に出馬する意向を表わしたものとみえる。
呉市長が大統領選レースに飛び込むポーズを取ったことで、朴槿恵(パク・グンヘ)元ハンナラ党代表が独走していたハンナラ党の選挙戦構図に活気がつく様相だ。朴元代表の対抗グループにすでに布陣している金文洙(キム・ムンス)京畿(キョンギ)知事、鄭夢準(チョン・モンジュン)元代表らの動きにも速度がつくだろう。4・27再補欠選の結果が与野党指導部に及ぼす影響まで考慮すれば、大統領選政局の主導権を狙う各政党の動きが本格化するだろう。与党の周辺では、4・27選挙の結果がどのように出ても、ハンナラ党が現在の安商守(アン・サンス)体制で来年の総選挙と大統領選挙を行うことは無理なため、新鮮な党のリーダーシップを国民に示す必要があるという声が出ている。呉市長が「出馬」をにおわせたことで、与野党いずれにおいても自治体首長の大統領選レース入りが注目される。
次期大統領選レースは、多くの候補が登場し、善意の競争を行う舞台にならなければならない。意欲があるなら誰でも大韓民国の未来の青写真を提示し、激しく論争を行い、党員と国民の選択を受けることは、民主的なシステムだ。金と組織を動員して勢力対決を行う旧態依然のやり方は飛び越えなければならない。
大統領は、大韓民国号の総設計者だ。次期政府5年の成果によって、大韓民国がもう一度跳躍できるかできないのか、分かれてくる。このような状況で、競馬式、人気投票式で大統領を選ぶのは、憲法が与えた国民の権利を自ら放棄することだ。有権者が冷静な判断で、自分の権利を行使せずに政界の過ちだけの指摘するのは正しくない。
呉市長が今後の進退について明らかな回答を避けたのは、これまで「市長の任期を全うする」と言ってきた自分の発言に対する責任論議を避けるための戦略とみえる。現行の選挙法上、呉市長が大統領選候補を選ぶ党内選挙に出ても、市長職は維持することができる。しかし、市長職をめぐる混乱については、ソウル市民と国民の前で堂々と明らかにし、責任を負うべきことは責任を負う姿を見せなければならない。