驚いたサッカーファンたちは、その瞬間を「マラドーナの再臨」と名づけた。リネル・メッシ(24=バルセロナ)が、もう一度サッカー史に名場面を残した。
監督同士の過激な論戦とファンのヤジ、選手たちの激しくフィジカルコンタクトが演じられ、戦争のような緊張感を生む「永遠のライバル」レアル・マドリードとバルセロナの対決が行われた28日、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝第1戦。レアルの本拠地、スペイン・マドリードにある8万あまりを収容するベルナベウ競技場は立錐の余地もなく観客で埋まった。260万ウォンの最高額チケット4000枚が飛ぶように売れた。しかし、夢の宴会の主役はレアルのファンたちに絶望を与えたメッシだった。
後半42分。相手陣営でボールを取ったメッシは猛烈なスピードで相手守備を突破し、合計年俸だけで数百億ウォンに上る超豪華クラブの守備陣を置物にしてしまった。約35メートルを疾走しながら、瞬時にしてDF4人を交わしては、倒れ掛かりながらゴールを決めた。試合は2−0に。これに先立って、後半31分には、サイドパスをノンストップでつないで決勝点となる先制点を決めた。競技場には、ホームファンの耳がはちきれそうな歓声の代わりに溜息が渦を巻いた。
1986年のメキシコW杯準々決勝で、アルゼンチンのマラドーナが50メートルを単独ドリブルをしてイングランド守備5人を交わしてゴールを決めた場面に似ていた。アルゼンチン代表のメッシは、自身が憧れているマラドーナを飛び越える勢いだ。
メッシは、今回のチャンピオンズリーグで11ゴールを決め、02〜03シーズンにマンチェスター・ユナイテッドのファン・ニステルローイが打ち立てたチャンピオンズリーグのシーズン最多ゴール(12ゴール)まであと一歩を残した。チャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンクラブカップ時代までを入れると、1962〜1963シーズンにACミランのホセ・アルタフィーニの14ゴールが過去最高記録。
両チームは、始まりから激しくコンタクトプレーを繰り広げ、ハーフタイムのときは両チームの選手間で集団での暴力沙汰に発展しそうな場面もあった。結局、後半16分、過激な守備プレーをしていたレアルのペペが退場処分を受けたが、これが致命的だった。退場処分に抗議していたレアルのジョゼ・モウリーニョ監督まで退場された。モウリーニョ監督は、試合終了後「なぜだ?なぜだ?なぜだ?」と叫びながら、審判たちがバルセロナを庇い過ぎたと非難した。両チームは、5月4日、バルセロナの本拠地で第2戦を戦う。
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