あふれ出た涙は止まることを知らなかった。世界フィギュア選手権女子シングルフリースケートが行われた先月30日、ロシア・モスクワのメガスポルト競技場。「フィギュア・クィーン」金妍兒(キム・ヨナ、21=高麗大)が受賞台に上った。最も高いところではなかったが、顔は明るかった。しかし、いつまでも涙が流れた。
金妍兒は同日、フリースケートで128.59点をもらって、前日のショートプログラム(SP)の点数(65.91点)を合算し、計194.50点となった。フリーの130.21点で計195.79点となった安藤美姫(日本)に1.29点遅れて総合2位になった。
2度のジャンプミスが痛かった。前日ミスしたトリプルルッツ—トリプルトウループコンビネーションジャンプ(基本点数10.1点)を完璧に跳び、1.6点の加算点をもらったが、トリプルサルコウ—ダブルトウループコンビネーションジャンプ(基本点数5.6点)で後半ジャンプが1回転に止まり基本点数が4.6点へ削られた。トリプルフリップジャンプ(基本点数5.3点)も1回転に止まり、基本点数0.5点しかもらえなかった。
なかなか出なかったジャンプミスは13ヵ月間のブランクが原因と見られる。金妍兒は競技の後、「緊張した。足が震えてフリップジャンプの時も戸惑った。ブランクの影響があるかも知れない。しかし、確かではない」と話した。
プログラムを初公開したのも不利に働いた。審判らは他の選手と違って、金妍兒のプログラムを今季初めて見た。審判はだいたい選手のシーズン初競技を判定の基準にする。その競技を基準に以後の大会の時加算点と減点の判断をする。金妍兒の場合は基準にする演技がなかった。あるフィギュア関係者は、「普通、選手の初試合の時は点数を厳しくつけるが、金妍兒がこのような面で不利だったのではないかと思う」と話した。
完璧に跳んだジャンプで加算点をもらえなかったのも残念だった。普通は1点以上、高い時は2点の加算点をもらう金妍兒は、フリーで1点以上の加算点を3度もらうのに止まった。反面、安藤は加算点1点以上を4度もらった。
金妍兒は今度まで3度、授賞式で涙を流した。09年世界選手権と10年バンクーバー冬季五輪の時の涙は喜びと感激の涙だった。今大会はブランクへの緊張感、審判の偏見、ブライアン・オーサーコーチとの決別による噂などで金妍兒にはプレッシャーの高い復帰戦だった。金妍兒は、「厳しい時間を送って、久しぶりに表彰台に立ったという思いで涙が出た」と話した。
一方、金妍兒は東日本大震災で被災した子どもたちを助けるため、銀メダルの賞金2万7000ドル(約2886万ウォン)をユニセフに寄贈することにした。
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