公務員のソン某氏(34)は今年初頭、金融や海運銘柄のうち低評価の2、3銘柄に1500万ウォンを投資したが、投資金の約10%の損失を出している。ソン氏は、「平凡な個人投資家らは40万〜50万ウォンもする高価な銘柄は最初から望めず、数万ウォンの『安い』銘柄を買わざるを得ない」とし、「株価は史上最高値と言われるが、小口個人投資家は鬱憤がこみ上げるばかりだ」と話した。
上場企業の企業利益が史上最高値を突破したことを受け、株価は今年に入り10数回も史上最高値の更新を続けているが、株価上昇の恩恵は一般投資家までは回っていない。一部の大型株中心に株価が値上がりし、機関や外国人投資家、一部の大口投資家は高い収益を上げているが、小額で中小型銘柄へ投資をしていたり、家計負債の負担のため、所有していた株も手放さざるを得ない庶民層にとっては、「他人の祭り」に過ぎない。上位20%が富の80%を獲得する「パレートの法則」が証券市場でも再現し、株価上昇に伴う「富の効果」は庶民層にまでは回っていない。
●儲かっているのは誰?
最近、証券市場では大型株や輸出株が破竹の勢いを見せる一方で、中小型株や内需株は低迷しており、極端な対比を見せている。9日、有価証券市場で、三星(サムスン)電子や現代(ヒョンデ)自動車、SKイノベーション、LG電子など上位20銘柄の時価総額は計583兆471億ウォンと、証券市場全体の49.69%に達した。今年に入り収益率が上昇した銘柄も、時価総額の上位銘柄に含まれたグループ社が大半を占めた。現代車は年明けより34.75%も高騰し、起亜(キア)自動車は41.90%、Sオイルは50.16%、OCIも71.30%上昇した。
しかし、株価上昇の恩恵は一部階層が独占しており、多くの小口投資家には絵に描いた餅に過ぎない。主要企業が陣取っている総合株価指数(コスピ)200で、国内公募型・株式型ファンドが占める持分の割合は10%足らずだ。
これらの企業が上げた業績を小口投資家が享受しづらい構造となっている。その代わり、大株主一家や外国投資家、一部の大口投資家がその恩恵を受けている。会社人のB氏(43)は、「株投資キャリアが相当あり、これまで『小遣い稼ぎ』程度の小さな恩恵を享受してきたが、昨年から今年にかけては相対的な剥奪感を感じている」とし、「コスピは史上最高値の更新を続けているが、私が投資した銘柄は依然マイナス状態だ」と話した。
韓国(ハングク)投資証券の姜盛模(カン・ソンモ)常務は、「国内企業は史上最高値の業績を上げているが、これは厳密に言えば、株主らの利益最大化の過程に過ぎず、雇用や消費創出へと繋がる国民経済効果とは大きな関係がない」とし、「最近の国内証券市場の上昇は、一部の階層が独占する歪曲された構造で進んでいる」と指摘した。
●金融商品にも格差
上場企業各社の成長恩恵を一般国民が共に享受するためには、金融ファンドやファンドの大衆化が進むべきだが、金融商品においても格差の拡大が目立っている。昨年から、爆発的な人気を集める総合資産管理口座(ラップアカウント)は、5000万〜1億ウォン以上の加入金額制限があり、事実上庶民らは近づきがたい金融商品だ。現在、8兆ウォンを越えている諮問型ラップアカウントは、年明けから毎月約1000億ウォンずつ、引き続き増加している
一方、一般人が小額でも簡単にアプローチできる公募ファンドでは換金売りが殺到している。金融投資協会によると、国内株式型ファンドでは今年約3兆4000億ウォンが、海外株式型ファンドでは年明け以降、約3兆8000億ウォンが換金売りされた。シンヨン証券の金世仲(キム・セジュン)取締役は、「家計資金の場合、家計負債の負担に耐え切れず、ファンドの換金売りで株式市場から離れている一方、大口投資からはラップを通し、引き続き証券市場に流れている」とし、「証券市場が上昇する時参加できなかった人々は、市場の富の増大効果から外されざるを得ない」と語った。
専門家らは、このような格差拡大の流れは当分、続く可能性が高いと見ている。NH投資証券のチョ・ソンジュン研究員は、「諮問型ラップアカウントで入った資金は大型優良株ばかり好んでいる上、第1四半期の業績発表を見れば、従来の主導株のほかには目立つ銘柄が見当たらない」とし、「一般家計資金の証券市場への流入が本格的に行われず、証券市場の恩恵の格差拡大現象は長引くことになるだろう」と話した。
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