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[社説]貯蓄銀行を巡る捜査で聖域はない

[社説]貯蓄銀行を巡る捜査で聖域はない

Posted June. 02, 2011 03:08,   

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検察は、釜山(ブサン)貯蓄銀行グループの救命ロビーに関わった元監査院監査委員の殷辰洙(ウン・ジンス)容疑者(拘束収監)から依頼を受けた疑いが持ち上がっている金鍾昶(キム・ジョンチャン)元金融監督院長を呼んで取り調べる方針だ。金元院長は00年2月から04年2月にかけて、金融監督院副院長や企業(キオブ)銀行頭取を経て、08年3月から今年3月にかけて金融監督院長を経験した。金監院長に任命される直前まで、登記取締役として在職した不動産信託会社、アジア信託は昨年、釜山貯蓄銀行の有償増資に参加した。様々な面で、釈然としないことが多い。金融監督機関のトップを経験した人が、貯蓄銀行の不法や不正をかばった事実が確認されれば、国民の衝撃や憤りは大きいだろう。

民主党の朴智元(バク・ジウォン)元院内代表は今年3月、国会法制司法委員会で、河福東(ハ・ボクドン)監査院長職務代行に対し、「釜山貯蓄銀行は、監査対象ではない」としながらも、「だが、多くの貯蓄銀行が監査院の便法的監査や不法的監査のため、被害を受けている」と主張した。昨年4月は、当時の金滉植(金・ファンシク)監査院長(現首相)に対し、「(監査院が)貯蓄銀行の内部資料を、預金保険公社などを通じ要求したが、民間金融機関まで監査する法的根拠は果たしてどこにあるのか」と問い詰めた。誰が見ても、釜山貯蓄銀行など、一部の貯蓄銀行を擁護する狙いが伺える。この発言だけを見ても、朴元代表は民主党の貯蓄銀行を巡る真相調査委員長を引き受ける資格がない。

民主党は、貯蓄銀行不良化事態と関連し、大統領府の権在珍(クォン・ジェジン)民情首席や鄭鎮碩(チョン・ジンソク)政務首席秘書官、金斗宇(キム・ドゥウ)企画管理室長に対しても、疑惑を提起した。当事者らは、民主党からの攻勢を「典型的な政治的危害」と反論している。大統領府関係者らが不正に巻き込まれているという具体的な証拠は出なかったものの、一応、野党が疑惑を提起した以上、徹底して真偽を究明する必要がある。

釜山貯蓄銀行事態は、大株主や経営陣が不法融資や横領を通じ、計7兆ウォン以上違法で利益をあげた超大型金融詐欺事件だ。釜山貯蓄銀行は1997年の通貨危機前までは、ノンバンク業界ですらその存在感は薄いものだったが、金大中(キム・デジュン)や盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代を経て、国内有数の貯蓄銀行へと急成長を遂げた。筆頭株主の朴然琥(バク・ヨンホ)会長は株価を操作し、財務諸表を虚偽作成した容疑で03年に拘束されたが、打撃を受けるところか、より一層うなぎ上りに成長した。各界に陣取っている有力人物らがかばわなかったなら、果たしてこのような金融会社や経営陣が10年以上も大手を振ることができたかどうか疑わしい。

釜山貯蓄銀行の大株主や経営陣は、金大中、盧武鉉政府時代には会社規模拡大のため、不良要素が頭打ちの状態となった李明博(イ・ミョンバク)政府では、生き残りのため、全面的なロビーを行ったというのが、概ねの見方だ。検察は、貯蓄銀行問題に巻き込まれた人物は、現政権や前政権、与野党を問わず、徹底的に調査し、全容を究明しなければならない。大統領府関係者や朴元院内代表、金元院長を問わず、誰もが聖域にはなれない。

歴代政府の政策失敗と共に、特定学閥や地域派閥、政治的コネなどで繋がっている釜山貯蓄銀行グループの閉鎖的経営陣構図も経営破たんと不正を増大させた。朴然琥会長や金洋(キム・ヤン)副会長など、不法貸し出しやロビーを主導した同銀行の重要経営陣や釜山貯蓄銀行の2大株主である朴ヒョンソン会長は、共に光州(クァンジュ)一高出身だ。

三星(サムスン)夢奨学財団やポステクが、釜山貯蓄銀行に対し、それぞれ500億ウォンずつを投資するように口利きしたKTB資産運用の張寅煥(チャン・インファン)代表も光州一高出身だ。張代表は、三星夢奨学財団の基金管理委員であり、ポステクの資金運用諮問委員を引き受けている。2000億ウォン以上の不良貸し出しが発生し、投資不適格等級(BB)状態だった釜山貯蓄銀行に対し、1000億ウォンもの大金を投資する内部議決の手続きが、正常に行われたとはみなせない。

金滉植(キム・ファンシク)首相は、「監査院長時代、貯蓄銀行に対し監査を行う時、様々なところから圧力を受けた」と話した。金首相は、現政府の首相であり、釜山貯蓄銀行経営人とは同じ高校の出身である。金首相は、自分に寄せられた全ての圧力の全容について残さず公開しなければならない。

通貨危機後、政府は経営が破たんした相互信用金庫(現貯蓄銀行)の処理のために、預金保険公社の預金の立替をはじめ計11兆5000億ウォンの公的資金をつぎ込んだ。この過程で、急成長した釜山貯蓄銀行などの一部の貯蓄銀行は、大株主や経営陣の不道徳かつ破廉恥な行為で、再び不健全経営の泥沼に落ち、10兆ウォン以上の追加の公的資金がつぎ込まれるものと見られる。今年、韓国の全体予算の約6%に当たる計22兆ウォン以上の国民税金を蝕むことになる、10年にわたる貯蓄銀行の不健全経営の全容を徹底的に明らかにし、全て責任を問うべきだ。