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[社説]「自然の恵み」が「災害」となって町を襲い掛かった

[社説]「自然の恵み」が「災害」となって町を襲い掛かった

Posted July. 29, 2011 07:14,   

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牛眠山(ウミョンサン)は、ソウル江南(カンナム)の肺の役割を果たしてきた。江南地区の住民は、立ち並ぶ都心のビルた住宅地帯の周辺に展開している標高293メートルの緑の空間を、自然の恵みと思ってきた。山の形は牛が眠っているような姿だ。生い茂った草木の間には、ヒメジョオンや忘れ草、クサノオウが咲き乱れていた。住民は所々に登山道や泉、生態公園のある山を、穏やかな隣家のように上り下りした。風光の優れた山のふもとには高層マンションや田園住宅が立ち並んだ。その平和な山が一夜にして豹変し、15人の命を奪い、町を廃墟にさせた。泥水が津波のように町を襲い掛かった瞬間、自然の恵みは災害に変わった。

牛眠山の土砂崩れは、人による災害であることが明らかになりつつある。2日間460ミリの大雨が降ったのが直接の原因だが、それへの備えは十分ではなかった。牛眠山は10数年前から土砂崩れに関するシミュレーションから、斜面が不安定で、開発には適していないというIII等級の判定を受けた。また、山林庁の「土砂崩れ危険地管理システム」でも牛眠山は、最も危険度の高い「1等級」だった。ソウル市も牛眠山周辺を、切開地3等級(大変危険)に分類した。昨年9月は、台風「コンパス」が牛眠山を襲い、数百本の木々が根こそぎなぎ倒され、土砂が流されたため、緩衝地帯は減り、地盤が弱くなり、大型の土砂崩れを予告していた。

危険要因だらけの山に、生態公園を造成するため、山の頂上まで木の階段を作り、人工の湖や人工の谷を作り、水の流れを変えた。広くなった登山道は、雨水や土砂を街に運ぶ水路の役割を果たした。江南循環道路は、ただでさえ地盤が不安定な山を通るように設計されたものだ。住民らは昨年の台風で倒れた木の塊を、今回の山崩れが起きた地点に放置したため、被害を拡大させたと指摘している。

土砂崩れが起きた翌日の28日午前、現場を訪れた時、生態公園に繋がるヒョンチョン路は、無残に崩れていた。しかし、わずか50メートル隣の山中の細道へと繋がっている損チョン路は、きれいだった。自然は、そのまま放置したとき、最上の恵みを与える。やむを得ず手をつけるのなら、地質調査や安全措置を先に行うべきだ。

気候変動により降水量や集中豪雨の頻度が急増している我が国では、いつでも第2、第3の牛眠山の惨事が起きかねない。2006年から2009年にかけて、傾斜面の災害危険について調査を行ったソウル私立大学の李壽坤(イ・スゴン)教授は、「ソウルでは10万ヵ所、全国では100万ヵ所で、山崩れの可能性があるが、何ら対策のないのが現状だ」と診断した。全国の切開地への精密点検や山崩れ予防対策の樹立に手を抜いてはならない。