最近、中国の若者の流行語の一つに「今日もマフラー編んだ?」という言葉がある。意味は、「今日も『微博(ウェイボ)』したか」という意味だ。「マフラー(围脖・ウェイボ)」の発音と中国版ツイッターの「微博」(ミニブログ)の発音が似ているためだ。
ウェイボが中国を変えつつある。高速鉄道列車事故を初めて世間に伝えたのも、その後の国民の怒りを結集させ、メディアや知識人ら市民社会の変革の要求を伝えたのも、微博だ。
微博は中国版ツイッターだ。ツイッターのように140字以内の短いメッセージをつぶやく。中国では、当局が封鎖しているためツイッターは使えない。
微博は09年8月、インターネットポータル「新浪網」が初めてサービスを開始した。08年の米国の大統領選挙を機に、ツイッターが世界の注目を浴びた時だった。当時、中国のインターネットユーザーはすでに3億4000万人に達し、需要は十分だった。
新浪網の微博が成功すると、「百度」や「罔易」などの別のポータルも「微博」という同じ名前でサービスを始めた。先月、中国インターネット情報センター(CNNIC)が発表した資料によると、6月末現在、微博の加入者の総数は1億9497万人に達する。6ヵ月で3倍に跳ね上がった。
微博に加入し、ツイッターのように特定の人のフォロワーになると、その人が伝えるメッセージを受け、見ることができる。韓国の女優、李ダヘ氏の微博のフォロワーが20万人を超え、話題になったりもした。微博の強みは、加入者が多いだけでなく、機動性に優れていることだ。
中国社会科学院の「新媒体発展報告」によると、昨年、中国で問題になった50の大きな事件のうち、微博を通じて初めて世間に伝えられたのが11件と、22%を占めた。
中国政府としてはどうすることもできない「手に負えない問題」がまさに微博だ。今年2月、中国官営メディアの環球時報は社説で微博について、「中国のインターネットユーザーは都市の若者層に限定されており、広範囲な民意を代弁すると見ることはできない」と主張した。
共産党宣伝部と国務院情報化弁公室はすでに、ツイッターとフェイスブックに対してはアクセスを封鎖しているが、微博の流れに逆行することは容易ではなさそうだ。自国のインターネットポータル業者が作った微博まで封鎖すれば、国民の不満を統制できないという見方が強い。
むろん、今年初めの「ジャスミンデモ」や昨年の反体制作家の劉暁波のノーベル賞受賞の知らせが伝わった時、各微博の運用会社は、関連単語の検索を遮断した。しかし、その後は特に検閲された事例はない。
米国のウォール・ストリート・ジャーナルは、政府統制下の中国メディアが、高速鉄道列車事故後、「タブーの壁」を越えて社会変革の主体として登場する背景として次の3つを挙げた。最初の理由は、微博だ。新しい電波メディアが発達し、迅速に事故のニュースが広がり、大衆の世論を形成することができるようになった。次に、統制状況下でも大衆の声を代弁する必要があると考える記者ら「理想主義メディア・プロフェッショナル」の増加だ。最後は、共産党内部で改革勢力が生まれているという点だ。