携帯電話でやり取りする携帯メールは、コンピューターでやり取りする電子メールより、身近に感じられる。携帯メールは、綴字や文法、構文にあまり拘らず、気軽に早く打ち込んで送る。そのため、ミスも多い。祖母に、「長生きしてね」と送るべき文章を、「おばあさん、長生きしたね」と送ってしまい戸惑うこともあるし、妻や彼女にプレゼントを贈ったが、「ありがとう、ハニー。死んでね〜♡(「サランヘ(愛してる)」が「サマンヘ(死亡して)」と打たれたミスタッチ)」のようなメールをもらって、驚くすることもある。
◆主語抜きで書くため、意味不明な時もある。李東官(イ・ドングァン)大統領言論特別補佐官が、民主党の朴智源(バク・ジウォン)議員に送った携帯メール「人間的に残念です」と、「その程度の人間だとは思いませんでした」がそれだ。これらの文章の意味は、2番目の文章の主語が何かによって、意味ががらりと変わる。「人間的に残念です。(朴議員が)その程度の人間だとは思いませんでした」とも取れ、「人間的に残念です。(自分が朴議員にとって)その程度の人間だったとは思いませんでした」とも取れる。
◆李特補は、朴議員が貯蓄銀行のロビイスト、朴テギュ氏問題を取り上げる過程で、自分の名前を口にしたことへの抗議として、このような携帯メールを送った。朴議員が腹を立て、国政監査の会場でこれを公開し、李特補は「私が」という表現が抜けて生じた誤解だと釈明した。個人的にやり取りしたとも受け取れるメールを公開した朴議員もさることながら、主語のため、誤解の生じかねないメールを、確認もせずに送った李特補にも非がないとは言えない。電話で話したならたいした問題にならなかったのに、メールで送ったためにおきた出来事だ。
◆携帯メールは、音声通話とは違い、記録として残る。不倫関係でひそかに携帯メールをやり取りし、配偶者にばれて離婚させられる事例もある。昨年、ソウル家庭裁判所は、姦通したという物証がなくても、配偶者でない人と「愛している」「別れてから二日がたったが、会いたくて仕方が無い」などのメールをやり取りした場合、離婚事由に当たるという判決を下した。モバイル通信事業者は、携帯メールを保存しない。残っているのは、ユーザーの携帯電話のみだ。結局、問題が生じた時は、削除しなかった本人の責任になる。時には、忘却が記憶よりいいように、音声のように消えてしまうことが、文字のように残っていることよりよいこともあるかも知れない。
宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com