「肉づきがよく、いい手をしていた」
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記を弔問し、27日午後に戻ってきた金弘業(キム・ホンオプ)元議員(61)は、後継者の金正恩(キム・ジョンウン)党中央軍事委副委員長と握手をして受けた印象を尋ねられ、このように話した。金弘業氏は、故金大中(キム・デジュン)元大統領の次男だ。
金弘業氏は、金元大統領の李姫鎬(イ・ヒホ)夫人一行が京畿道坡州市(キョンギド・パジュシ)の南北出入事務所で記者会見を終えた後、バスに乗る直前、東亜(トンア)日報の記者に対して、26日に金総書記の遺体が安置された平壌(ピョンヤン)の錦繍山(クムスサン)記念宮殿で金正恩氏に弔意を伝えた時の様子を語った。
——金正恩氏と話をしたのか?
「(錦繍山記念宮殿に)人がとても多く(弔意のために)列に並ばなければならない状況だった。金正恩氏と立ち話をする状況ではなかった。握手する(程度)…」
——金正恩氏とどんな話をしたのか?
「あの中(錦繻山記念宮殿)は音が響いて声がよく聞こえなかった。金正恩氏が(私たちに)握手をした。『来てくださって感謝する』と言った。別に話はなかった」
——金正恩氏はどうだったか?
「とても沈んでいた。とてもつらそうだった」
この時、金弘業氏の隣にいた息子のジョンデ氏(25)が割り込んできた。「(金正恩氏が)別の弔問客とは握手をしなかったが、私たちとだけ握手をした」
金弘業氏が首を縦に振って話を続けた。「(私たちの後に)弔問客が並んでいたので、(私たちと別の弔問客の間に)空間を作ってくれた。(そのお陰で私たちは)列に並ばず(余裕があった)…。それでも長く話しをすることはできなかった」
金正恩氏はこのように、李夫人と現代(ヒョンデ)グループの故鄭夢憲(チョン・モンホン)前会長の夫人、玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長一行を丁重に迎えた。
27日午前に放映された朝鮮中央テレビには、李夫人が金正恩氏にゆっくり近付いて右手で握手を求めると、金正恩氏が両手で李夫人の右手を握る映像が流れた。李夫人が、金正恩氏に哀悼の意を伝えると、李夫人より背が高い金正恩氏が前かがみになって傾聴する姿勢を取ったりもした。金正恩氏は、玄会長と会った時も、両手で玄会長の手を握った。玄会長とは立ったまま約20秒間話をした。
直立して片手で弔問客と握手したり、弔問客のあいさつだけ受けていたこれまでの金正恩氏の姿とは違った。労働新聞は1面に写真つきで李夫人と玄会長一行の弔問の内容を詳しく報じた。金正恩氏が李夫人と玄会長に礼節もって対応したことは、父親の金総書記と縁がある金元大統領、鄭前会長の遺族に対する礼儀だけでなく、南北関係改善の意志を象徴的に示したジェスチャーという見方が流れている。
弔問団一行は韓国に戻る前の27日午前、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長に平壌万寿台議事堂で会った。朝鮮中央通信は、金永南常任委員長との会談について、「李夫人と玄会長が、6・15共同宣言と10・4首脳宣言が履行されることを望むとし、これに向けて努力する意志を表明した」と伝えた。
南北出入事務所で李夫人の一行を迎えた民主統合党の朴智元(パク・チウォン)議員は「(北朝鮮で会った)金永南常任委員長、金養建(キム・ヤンゴン)統一戦線部長、元東淵(ウォン・ドンヨン)アジア太平洋平和委副委員長らは、金正恩氏を「大将同志」と呼び、元副委員長は、『金正恩大将同志が6・15(首脳会談)の時と同じように迎えるよう指示した』とし、00年の6・15の時に、百花園迎賓館で、金大中大統領夫妻が使用した同じ101号に宿泊した」と伝えた。
南北出入事務所に到着した李夫人と玄会長一行は、今回の訪朝が純粋な弔問だったため、金正恩氏は具体的な対南メッセージを伝えなかったという点を強調した。ユン・チョルグ金大中平和センター事務総長は、李夫人に代わって、「(弔問のために)約40〜50分間待ち、10分程弔問した」とし、「金正恩氏が『遠くからお越しくださり感謝する』と言った」と伝えた。
李夫人一行より約30分早く到着した玄会長は、「金正恩氏と別途の面談はなかった。哀悼を示すだけで、別に話はなく、会うこともなかった」と話した。金正恩氏の印象や性格について、「マスコミで見たとおりだった」と発言を控えた。「北朝鮮と対北朝鮮事業について話をしたか」という質問にも、「弔問が目的だったのでなかった」と述べた。
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