「無謀な賭け事だ」
マイクロソフト(MS)が先月29日(現地時間)、スペインのバルセロナで開かれた「モバイルワールドコングレス」(MWC)2011」で公開した新しい運営体制(OS)の「ウィンドウズ8」について、米国の情報技術(IT)専門誌が出した反応だ。
一部からはこのような懸念があるが、MSの新しい野心作とも言えるウィンドウズ8が好評を得ている。
CNNは、「グーグルやアップに対し有効に対応できる方法だ」と好評した。
消費者の反応も好意的だ。MSは、MWCで同OSを公開し、テストバージョンを自由にダウンローさせている。その結果、公開から24時間で、世界中で100万件を超えるダウンロードが行われた。今回公開されたテストバージョンは、英語やドイツ語、フランス語、日本語、中国語の簡体の5ヵ国語だけを支援している。
●ウィンドウズ8、何が変わったのか。
ウィンドウズ8は、09年に発売されたウィンドウズ7の後続OSだ。パソコンで使われるOSだが、企画段階からスマートフォンやタブレットを念頭に置いての開発だった。このため、使い方が従来のウィンドウズシリーズとは大幅に変わっている。
テストのため、直接ウィンドウズ8を設置してみた。最大の特徴は、ウィンドウズの象徴とも言える「スタート」ボタンが消えたこと。ウィンドウズ95バージョンを通じて、スタートボタンが初めて登場してから17年ぶりのことだ。
その代わりに、キーボードのウィンドウズキーを押せば、浴室にしかれているタイル型に配置された画面が現れる。MSは、これを「メトロスタイル」と呼んでいる。スマートフォンOSである「ウィンドウズフォン」で初めて使われる方法だ。マウスでアイコンをクリックしてこそ、プログラムが現れる従来のウィンドウズとは異なって、アイコンをクリックしなくても、プログラムの内容をタイル上で見ることができる。例えば、「メール」タイル上には読んでいないメールの件数が現れ、「天気」タイル上には現在の天気が現れている。
このほか、MSの「ウィンドウズライブ」と言うインターネットサービスアカウントを入力することも変わったことだ。このアカウントは、ウィンドウズやスマートフォン、タブレットPCなど、様々な機器で使われている。特に、全ての機器でデータが共有されるため、自宅で使うパソコンで一度だけ「マイフェイバリット」やアドレス帳を設定しておけば、オフィスのパソコンやスマートフォンで設定しなおす必要がおらず、この情報をそのまま使うことができる。
これまで、ウィンドウズ7を問題なく起動させたパソコンなら、別途のアップグレード無しに、ウィンドウズ8を設置できることもメリットだ。これまでは新しいウィンドウズが出るたびに、パソコンをより高性能製品に取り替えなければならないケースがほとんどだった。
●アップル・グーグルとの競争
このように、パソコンやスマートフォン、タブレットPCを行き来する便利な使い方は、MSのみの技術ではない。ライバルメーカーのアップルとグーグルはこの数年間、スマートフォンの「アイフォーン」や「アンドロイドフォン」を通じて、この方式を先に披露し、地道に改善させてきた。これをMSが、後になって追いついていこうと努力しているわけだ。
各メーカーの戦略には少しずつ、違いがある。アップルは、スマートフォンのアイフォーンで人気を得ており、アイフォーンで使うiOSというOSをタブレットPCのアイパッドに適用させ、その後は、自社のマックコンピューターのOSXまで、iOS形態へと変えている。一方、グーグルは、インターネットの検索で有名になったため、「クロム」と言うウェブブラウザを作り、10年はこれをパソコン向けOSに改造した。最近は、スマートフォンやタブレットPC向けとして、クロムウェブブラウザを作っている。
一方、MSは、スマートフォン市場ではあまり人気を得ることができなかったが、パソコンOS市場では90%のシェアを持っている。MSはこれを利用し、PC向けOSをスマートフォン向けOSに変え、モバイル市場への参入を開始している。
sanhkim@donga.com