大学生のチェ某さん(25)は2年前の夏に電子書籍の端末一つをプレゼントされた。電子インクを使う電子ペーパーの画面がついており、長時間読んでも、目の疲れの少ない製品だった。普段から読書の好きだったチェさんは、アイパッドやギャラクシータブのようなタブレットPCより、この端末の方をより好んで使っている。ところがある日、本を読みたいと思い、カバンに入れておいた端末を取り出してみたら、画面に何本かひびが入っていた。他の本とノートパソコンとの間に挟まれていた端末が、圧力に耐え切れず、液晶が壊れたのだ。チェさんは、すぐサービスセンターを訪れたが、画面を取り替えなければならないといわれた。やむを得ず、端末価格の半分弱の金を払って、端末を修理せざるを得なかった。
09年後半から、国内市場にはアイリバーの「ストーリー」、インターパークの「ビスケット」などの電子ペーパーを採用した電子書籍向け端末が相次いで登場している。タブレットPCより軽く、目が疲れないことを理由に、読書に適していると言う評価を受けてきたが、耐久性の面ではやや劣ると言う指摘が多かった。ガラスを使っていて、壊れやすいからだ。LGディスプレーの調査結果によると、電子書籍の端末ユーザーの約10%が、謝って電子書籍を落としたり、障害物にぶつかって画面が壊れた経験があることが分かった。
LGディスプレーは、このような弱点を改善するため、ガラスの代わりにプラスチックを採用した6インチの電子ペーパーを開発し、世界初の量産に入っていると、19日に明らかにした。この電子ペーパーは、厚さはガラス製電子ペーパーの3分1ほどの約0.7ミリへと減らした。それに向け、携帯電話の保護フィルムと同様の厚さのプラスチック基盤(PCB)が使われている。下敷きのように約40度まで曲げることができ、重さも従来の電子ペーパーの半分の14グラムに過ぎない。
耐久性も改善されている。LGディスプレー側は、立った状態で本を読む高さ(約1.5メートル)から落としたり、小型のウレタンハンマーで打ち下ろしても、画面が壊れないと主張している。LGディスプレーの関係者は、「耐久性や持ち運びを大幅に改善しながら、価格は従来のガラス製電子ペーパーと大差がなく、様々な分野で使用できる」と話した。
電子業界は、プラスチックの電子ペーパーが量産され、今年下半期は下敷きのように使えることになるなど、様々なデザインの電子書籍が出るだろうと見込んでいる。LGディスプレーの関係者は、「従来の電子ペーパーは、電力消耗が少なく、価格が安いほかは、タブレットPCに使われる液晶表示装置(LCD)と大差がなく、差別化のポイントがなかった」とし、「プラスチックの電子ペーパーが量産されれば、新しいコンセプトの電子書籍が相次いで登場するだろう」と見込んでいる。
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