「1人デモ」という言葉は、少なくとも法律的には成立しない。集会やデモに関する法律第2条第2項には、「デモとは、様々な人々が共同の目的を持って道路や広場、公園など一般人が自由に通行できる場所を行進したり威力または勢いを示し、不特定多数の人々の意見に影響を与えたり、制圧を加える行為」と明示している。法律的には2人以上でデモが成立するというわけだ。このため1人デモは警察に届ける必要もなく、集示法(集会及び示威に関する法律)上のデモ禁止場所の制限も受けない。
◆公式的な最初の「1人デモ」は、00年12月に市民団体の参加連帯関係者が、国税庁の前でプラカードを持って立ったこととされている。当時、三星(サムソン)グループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長の変則的相続疑惑を情報提供した参加連帯は、国税庁が何の反応を見せなかったことに抗議してデモを計画したが、集示法のデモ禁止場所の規定のため難関にぶつかった。結局、集示法の弱点をさがし出し、「1人リレーデモ」を行った。しかし、1人デモであってもプラカードやスローガンの内容が別の法に抵触すれば、処罰の対象になる可能性もある。
◆警察庁捜査構造改革団研究官室のイ・ジウン警監(34)が先月27日午後、約1時間半にわたって大邱(テグ)地検西部支庁の正門前で1人デモを行った。警察隊17期出身のイ警監は、タイトなミニスカート姿にサングラスまでかけ、警察官としては多少目立つ格好でデモをした。李警監は、「サングラスは太陽がまぶしくて目が痛くなるためで、ミニスカートは持っている服の中で最もよく似合ったきれいな服なので着た」と語った。実際はメディア効果を極大化するためのようだった。
◆デモの目的は、密陽(ミルヤン)警察署のチョン・ジェウク警衛に暴言を吐き、捜査の縮小を指示した疑いで告訴された大邱(テグ)地検西部支庁の朴大範(パク・デボム)検事が警察の召喚要求に応じるよう促すためだったという。不法デモを阻止する任務を担う警察がデモをしたことに否定的な反応もなくはない。警察は、この事件の捜査過程で、検察が資料の提出を拒否し、証人申請も棄却していると主張する。検察は、イ警監の1人デモに対して「メディアプレー」であると批判している。イ警監のデモを批難するなら、警察捜査に応じない検事の特権意識についても自省すべきだろう。
権順澤(クォン・スンテク)論説委員maypole@donga.com