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[オピニオン]王の長寿のお膳

Posted July. 11, 2012 05:50,   

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朝鮮(チョソン)時代の王は、1日5食を食べるべきだと定まっていた。明け方のおかゆで始まり、午前10時と午後2時、午後4〜5時、午後7〜9時に食事をしなければならなかった。ところが21代の王である英祖(ヨンジョ)は、3度だけ出すよう命じ、満腹になるほど食べたことがないという。「王の私は、そんなに多く食べる必要などない」という百姓のための名分を打ち出したが、実は体が弱かった上、胃腸の調子が芳しくなく、食べすぎを避けたという分析だ。食べ物に欲を出さなかった英祖は、朝鮮時代の27人の王の中でも最も長生きした王として記録されている。歴史学者らは、当時の平均寿命を40〜50歳ほどと見ているが、英祖は83歳まで生き延び、王として統治した期間だけでも52年間を数えている。

◆王の健康は国の重大事案だった。健康を守るためには養生が最も重要であり、「承政院(スンジョンウォン=朝鮮時代の国王の秘書機関)日記」は、王の食べ物への好みや食事についても、細かく記録している。11日に開かれる「人文学者が用意した朝鮮王室の食卓」というテーマの韓国学中央研究院のシンポジウムでは、英祖の食習慣を始め、宮中の食文化に関する内容を扱った。京仁(キョンイン)教育大学のキム・ホ教授の論文によると、毎日のように王の食膳に山海の珍味が出されても、王たちは小さい頃から食べすぎを避ける美徳を身につけなければならなかった。温室の中の草花のように生きてきたため、平民とは違って、体質が強くなく、食べることに拘れば、病気にかかりやすかった。

◆王室だけでなく、士大夫たちも小食を強調した。16世紀の学者であるノ・スジンは、「食べ過ぎず、時を問わず食べず、お腹が減ってから食べるべきであり、食べる時は満腹になるほど食べてはならない」という文を残した。東萊府使と水軍節度使(朝鮮時代の武官)を歴任した李昌庭(イ・チャンジョン)は、光海君(クァンへグン=朝鮮の第15代王)12年に記した本で、「一生食べ物に接する時は、その半分のみ食べ、常に『足りない』という気がするほど食べなければならない」と、食事の節制を強調した。

◆英祖は、麦ご飯のお茶漬けという庶民的なお膳を好んで食べた。現代医学の蓄積した研究結果によると、年を取るほど、白米や小麦粉、肉食を減らし、野菜や麦、大豆などの雑穀や野菜を好んで食べなければならない。腹八分という気持ちで食べれば、医者など要らないという言葉もある。英祖の享年83歳は、現在の韓国女性の平均寿命ぐらいだが、医学の発達した現在の基準から見れば、英祖は100歳ほど生きたことになる。英祖が実践した献立は、最近、病院で生活習慣病にかかっている人たちに教える食餌療法とあまり変わらない。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com