チョクエ.avi:「朝から猥談(わいだん)していいの?」
テミン.avi:「やせた男があそこだけ大きいなんて、本当に面白くない?」
ケプティン.avi:「ハハハ」
11日午前6時50分。早朝から高校生のキムさん(16)のスマートフォンに、カカオトークメッセージが送られたことを知らせる音が鳴る。カカオトークのチャットルームには、わずか40分の間に約230ものメッセージが送らえていた。3人の同級生のカカオトークチャットは、授業時間を除いて1日中続いた。チャットはほとんどが猥談だった。性関係を連想させる写真もやりとりする。朝3人だったチャットルームの人数は、午後11時には6人に増えた。
このチャットルームの名前は「AVIファム」。「AVI(Audio Visual Interleaving)」は動画ファイルを意味する情報技術(IT)用語だが、中高生の間では「アダルト動画」を意味する隠語になっている。「Fam(ファム)」は、「Family(家族)」の略語。猥談をしたりアダルト動画を共有したりする「親しい」人の集まりということだ。
●仮想の恋人で猥談
スマートフォンが普及し、青少年の間で「猥褻(わいせつ)ファム」文化が急速に広がっている。一部の青少年がオンラインカフェを通じて会員を集め、カカオトークのIDを確保した後、特定のチャットルームに会員を招待するという方法で猥褻ファムが形成される。
ポータルサイト「ネイバー」のあるカフェには、このような「ファム」を募集する書き込みが1日平均5000件も上がっている。大半がスマートフォンのチャットを通じて仮想性関係を持つ「セックスチャット」をしたり性的な冗談をやり取りしようと、青少年の会員を誘う。募集公告には、「アダルト動画マニア集まれ!年齢は中2以上ならOK」、「猥談無限許可」などの扇情的な言葉が使われる。
猥褻ファムとは、チャットルームで恋人のように猥談をやりとりすることが多い。教師と教え子、ペットと飼い主、医師と患者などの状況や関係を設定し、役柄に合わせて猥談をする。「アダルト動画」の性関係のシーンによく登場する関係をそのまま借用するのだ。
猥褻ファムは主にグループチャット方式で行われるが、そのうち一部が一対一のチャットルームを別に作り、仮想の恋愛をすることも多い。関係がうまくいけば、実際に会ったりもする。このため性犯罪が起こることもある。今月1日、ソウル麻浦(マポ)警察署は、カカオトークで出会ったAさん(15)を自分がアルバイトをする店に連れ込み、猥褻な行為をした容疑で、キム容疑者(18)を逮捕した。警察は、「キム容疑者がカカオトークを利用して女子中学生の好感を買い、会おうと誘った」と説明した。
●匿名性が「性脱線」を煽る
カカオトークは、利用者IDだけあれば、自由に話相手を決めることができる。電話番号や名前などの個人情報は明らかにならない。このような匿名性のため、青少年が猥褻ファムに無防備にさらされているという指摘が多い。青少年にとって猥褻ファムは、大人の干渉を受けずに性に対する好奇心と想像力を思う存分表出し、解放感を満喫する空間だ。
中央(チュンアン)大学児童福祉学科のイ・ソンミ教授は、「スマートフォンの波及力は年齢が幼いほど大きく、成人も犯罪手段に使われる危険が大きいため、対策づくりが急がれる」と指摘した。
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