「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が、非同盟諸国首脳会議(NAM)に出席するためにイランを訪問する」
22日未明、このような内容の外国報道機関の報道を受け、政府外交安保省庁に衝撃が走った。しかし、確認の結果、北朝鮮の統治体制を熟知しないイランメディアの誤報によるハプニングであることが明らかになった。
事件は、イランのニュースサイト「タブナク」が、「金正恩第1書記が26〜31日にイランの首都テヘランで開催されるNAMに出席する」と報じたことで始まった。一部のアラブ圏メディアがこの記事を引用して報道し、国際的に展開するドイツDPA通信が22日午前3時頃、タブナクの記事を引用して、「金正恩第1書記が初の海外訪問地にイランを選んだ」と報じた。
外交通商部と統一部など外交安保省庁は、急いで確認に乗り出した。金第1書記のイラン訪問が事実なら、意味するところが小さくないためだ。
NAMは、冷戦時代だった1961年、米ソ両陣営に属さない開発途上国が第3の勢力になるという趣旨で結成された。北朝鮮も1975年にNAMの会員になって以来、いわゆる「非同盟外交」を重視してきた。しかし、NAMの母胎のバンドン会議10周年を記念して1965年にインドネシアで開かれた大会に金日成(キム・イルソン)主席が出席しただけで、3年ごとに開かれるNAM首脳会議には、延亨黙(ヨン・ヒョンムク)首相、朴成哲(パク・ソンチョル)副主席、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長らが出席した。
金第1書記が最も近い友好国である中国よりも先にNAM首脳会議に出席するためにイランを訪問するなら、今後金第1書記が中国依存外交から脱して全方位外交を展開するという考えを示したという解釈が可能だ。
また、代表的な反米国家であり、北朝鮮との核・ミサイルコネクション疑惑を受けているイランに一層接近することは、米国を圧迫するための措置と見ることができる。今回の会議の出席を検討中である潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が金第1書記と会うかどうかも注目される。
一方、北朝鮮が敏感に反応している韓米連合の乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)軍事訓練が行われており、金第1書記が盛大に行うよう指示した青年節(28日)の行事を目前にしている時に、金第1書記が平壌(ピョンヤン)を離れる状況は理解し難いという声も多かった。政府当局者も、「確認が必要な事案だ」とし、「誤って伝わった可能性もある」と指摘した。
結局、イラン政府側に事実確認をしたイランの韓国大使館が、同日午後2時頃、「金第1書記のNAM出席に関する報道は事実でないことが確認された」と外交部に報告し、この件は一段落した。イラン官営通信社のIRNAも同日午後、NAM報道官の言葉を引用して、「金第1書記は出席しない」と確認した。
今回のハプニングは、北朝鮮の統治体制に対する誤解から始まったものと推定される。北朝鮮憲法には、「最高人民会議常任委員会委員長が国家を代表する」と規定されている。つまり、北朝鮮の実質的な最高指導者は金第1書記だが、対外的な国家首班は金永南委員長になる。
当初、タブナクとインタビューをしたNAM報道官は、「北朝鮮の国家首班(head of state)が出席する」と表現しただけで、金第1書記の名前を言及したわけではなかった。北朝鮮の指導者は当然金第1書記だと考えたタブナクの記者が、「金第1書記が来る」と書き、別のメディアがこれを引用したと政府は把握している。会議には、金永南委員長が出席すると発表された。
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