25日、尖閣諸島(中国名=釣魚島)の領海(領海基線から12海里)で起きた日本と台湾船舶との「水鉄砲対決」は、「政府巡視船」同士の衝突ということで、注目しなければならない。台湾当局は、早期警報機と戦闘機、海軍艦艇まで用意しておいた上で、計画的に日本側と衝突した。
台湾当局は今後も、毎日1隻以上の巡視船を尖閣諸島周辺海域に配備する計画を明らかにした。すでに、中国政府の船舶10数隻が、尖閣諸島周辺の海域にとどまっており、200隻あまりの中国漁船も、尖閣諸島周辺で漁を行っている。尖閣諸島を巡り衝突が起きる可能性が、何時になく高まっている。
●尖閣諸島を巡る初の物理的衝突
25日午前5時、台湾の漁船60隻あまりと、海上警備当局の巡視船12隻が、尖閣諸島から18海里離れた海上に集結した。日本海上保安庁の巡視船50隻あまりは、尖閣諸島の領海でパトロールを行った。
午前7時40分になると、台湾漁船が一つ、二つ、尖閣諸島の領海への進入を開始した。約1時間が過ぎると、領海には、台湾の漁船や巡視船がそれぞれ40数隻と8隻へと増えた。
日本巡視船が台湾漁船の航路を遮りながら、放水すると、台湾の巡視船がその間に割り込み、日本巡視船に向け放水しながら切り返してきた。台湾の中央通信によると、日本巡視船が放水したあと、小型のモーターボートを海に降ろし、台湾漁船に衝突させる場面もあった。この過程で、一部の台湾漁船は、尖閣諸島5キロまで接近してきた。
中国も、海洋監視船4隻と漁業監視船1隻を、尖閣諸島の接続水域(12〜24海里)に進入させた。しかし、領海には進入せず、日本巡視船との衝突はなかったという。
台湾の漁船や巡視船は2時間20分ほど過ぎた午前10時ごろ、尖閣諸島から台湾の方向に向け、船首を切った。さらに11時40分ごろ、全て尖閣諸島の領海から出てきて、前日の出発地である宜蘭県・蘇澳港に向かった。台湾の漁業者たちは、「釣魚島が台湾の領土であることを、国内外に知らせるという目標はすでに達成した」とし、帰航の背景について明らかにしたと、台湾のメディアが報じた。
日本政府は、首相室に設けた尖閣諸島情報連絡室を官邸対策室へと切り替え、台湾や中国公船・漁船の動向をチェックしながら、その対策について検討した。尖閣諸島に上陸すれば、出入国管理法違反で逮捕する計画だったが、海上で無理な鎮圧は行わなかった。
今回の水鉄砲での衝突は、尖閣諸島を巡る戦線が、台湾へと本格的に拡大したことを意味している。さらに、韓国・日本・台湾へと繋がる米国の中国向け防御ラインが揺らぎかねないという見方も出ている。
米国は、尖閣諸島を巡る問題で、日本の肩を持ちながら、上辺では特別な見解がないと主張している背景には、中国だけでなく台湾を刺激しないという布石がある。一方、中国は、尖閣諸島を巡る問題に対し、中国と台湾が共同で対応すべきだと主張し、二国間の結束を固めるきっかけにしようとしている。
●冷え切った中日関係
日本と台湾との放水による交戦が激しく行われていた時、中国外交部の張志軍商務副部長と日本外務省の河相周夫事務次官は、北京の外交部庁舎で会談した。双方は、尖閣諸島を巡る対立の解決策について話し合ったが、意見の隔たりが大きく、折り合いをつけることはできなかった。河相次官は、「国有化したほうが、より安定的に管理できる」と主張し、張副部長は、「国有化を元に戻すべきだ」と主張したという。
今回の事態を受け、日本航空会社各社は、大規模なキャンセル事態に直面している。25日、共同通信によると、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の中国路線での9〜11月の観光客を中心にした団体ツアー客の予約キャンセルが5万2000席を越えている。これを受け、日本航空会社各社はすでに、来月、一部の航空便の航空機を小型に変えたり、運行便数を減らすことを決めた。
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