東部戦線と西部戦線の鉄条網が突破された。江原道高城(カンウォンド・コソン)の陸軍某部隊は今月2日、北朝鮮軍兵士が鉄条網を越え、一般前線警戒所(GOP)の内務班の前に来るまで全く分からなかった。非武装地帯の最前線の境界警戒所(GP)と有刺鉄線前のGOPを守る警戒兵が皆眠っていたということか。北朝鮮軍兵士が亡命のために越えてきたので良かったが、手榴弾で挑発したなら、内務班はまるごと吹っ飛んでいただろう。仁川市江華郡(インチョンシ・カンファグン)の喬桐島(キョドンド)では、先月4日、脱北者が海岸の鉄条網を突破して潜入したが、軍は5日後に住民が通報するまで把握していなかった。
軍は、「作戦に失敗した者は許せるが、警戒に失敗した者は許すことはできない」という言葉を金科玉條とする。北朝鮮と対峙している状況で、鉄条網で発生した警戒の失敗は、韓国軍が北朝鮮の挑発に事実上無防備状態であることを意味する。どこよりも軍の中枢神経が堅固でなければならない最前線の鉄条網がこのようにお粗末では、別の警戒状態も察しがつく。軍は2年前、北朝鮮の哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没と延坪島(ヨンピョンド)砲撃を経験し、再びこのような事態を繰り返さないと国民に約束した。北朝鮮の挑発の意志をくじくために戦って勝つ戦闘型部隊を育成すると誓った。しかし、北朝鮮軍が内務班の前まで来ても気づかないのを見ると、軍が口先だけ「臥薪嘗胆」を叫んだようだ。
東部戦線の鉄条網が突破された事実は、8日の国会国防委員会の合同参謀本部国政監査で明らかになった。軍は北朝鮮軍の侵入の事実を隠し、国会議員の追及を受けて明らかにした。警戒の失敗だけでなく、隠せば済むと考えたようだ。野生の動物に追い込まれたキジが森に頭を打ちつける姿と似ている。国防部は、北朝鮮軍兵士の相次ぐ亡命を受け、北朝鮮軍の規律弛緩が深刻だと説明したが、韓国軍の規律の弛緩も劣らず深刻な状態であることが明らかになった。北朝鮮軍兵士は、幅2キロメートルの非武装地帯を越え、3メートル以上の複雑な構造の鉄条網を何の制止もなく越え、情けないと思ったかもしれない。
合同参謀が戦備態勢の点検団を高城部隊に送って実態を調べているというが、合同参謀に任せて済むことではない。関係当局が総合点検をする必要がある。警戒の失敗の原因を究明し、責任者を問責して徹底した対策づくりにつなげなければならない。