「選挙人団、勝者独占、有権者投票…」
米国の大統領選挙には、韓国の大統領選挙では馴染みのない単語が多く登場する。米国は韓国と同じ大統領中心制であるため選挙制度も似ていそうだが、いくつかの点で違いがある。
●有権者登録手続き
米国は、有権者が事前に州選挙管理委員会に登録して選挙に参加する。韓国は、住民登録を基に有権者名簿が自動的に作成されるが、米国は国民個人の居住地の情報がないためだ。有権者登録は、米国の投票率を下げる決定的な原因だ。歴代大統領選挙の投票率は50%台にとどまっている。
●党内選挙と本選挙
大統領候補になるには、大統領選挙が行われる年の前半(1月から6月)に行われる政党の50州ごとの候補指名予備選挙に参加しなければならない。韓国と違って、米大統領候補が選挙の1年6ヵ月前に大統領選挙への挑戦を宣言するのは、予備選挙に参加するためだ。予備選挙で勝った勝者が本選挙に出る。本選挙は11月の第1月曜日と火曜日(今年は11月6日)に行われる。
●選挙人団による間接選挙
米国は、選挙人団が大統領を選出する間接選挙制を採用している。国民は、有権者投票(本選挙)で大統領候補から1人を選択する。すると開票結果によって選挙人団が決定される。選挙人団は、州別に上院と下院議員の数で配分されている。この選挙人団が12月、選挙人団投票(今年は12月17日)で大統領を選ぶ。総選挙人団は538人で過半数の270票以上を得た候補が当選する。選挙人団投票は要式行為であり、実際に大統領が決定される瞬間は、11月に有権者の投票結果が発表される時だ。
●勝者独占
各州の有権者投票の勝者は、その州の選挙人団を独占する。州の独立性を強調し、州単位を重視する米国の建国理念のためだ。このため、選挙人団が多く配分された州で勝利することが重要だ。しかし、大きな州はたいてい政治的指向が決まっているため、候補は明確な投票指向が定まっていないスイング・ステート(「揺れ動く州」)に全力投球する。特に、フロリダ、オハイオなど選挙人団が多いスイング・ステートは、候補の死活がかかっている。
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