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「共感と参加」歌手サイから学ぶ最高のマーケティング手法

「共感と参加」歌手サイから学ぶ最高のマーケティング手法

Posted October. 18, 2012 08:22,   

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デビュー当時、ストレートな歌詞や型破りなダンス、芸能人らしくない風貌で、芸能事務所すら、放送出演を巡り悩んだというサイ。しかし彼はあっという間にワールドスターになった。ユーチューブに「江南(カンナム)スタイル」のプロモーションビデオが紹介されたのは7月15日のこと。わずか2ヵ月足らずで、最短期間でのクリック数1億件を記録したのに続き、17日現在、4億8000万件を越えている。英国と中国の大衆音楽チャートを総なめし、米ビルボードホット100チャートのトップまで伺っている。

サイと江南スタイルとを一つのマーケティング商品とみなした場合、成功の秘訣は果たして何だろうか。マーケティング専門家のソウル大学のパク・ギワン教授は、「時代が求める最高のマーケティング手法、すなわち、共感と参加をサイがファンらにプレゼントした」と分析した。また、「サイは学ぶべきことが大変多い、この時代のマーケッター」とし、「企業の各マーケッターは、サイから学ぶべきだ」と強調した。

パク教授が、DBR(東亜ビジネスレビュー)第115号(10月15日付け)の投稿文の中で示した「江南スタイル」の成功要因をまとめた。

●「心への響き」マーケティング

最近、マーケティングの最大話題は、「どうすれば、消費者の心を掴む共感マーケティングをすることができるか」だ。かつてのマーケティングは単に、客のニーズを満たす(satisfy a need)ことに焦点を合わせてきた。しかし今は、「客の心を打って反響を引き出す(strike a nerve)叩きと心への響きのマーケティング」が成功のカギとなっている。

サイはこのような面で、すばらしいモデルだ。サイは、時代精神(zeitgeist)と大衆文化(pop culture)に完全に適したコンテンツを作り出した。江南スタイルは、世界の人たちが経済的不況の泥沼の中であえいでいる現状の中、誰もが真似できる面白おかしい馬乗りダンスや、「お兄さんは江南スタイル」のような強烈なフック(短く魅力的な繰り返される文句)、1分に120回が繰り返され、軽い運動同様の心拍数とリズムを提供するビートなど、楽しさと興味を誘発する普遍的コードを活用して共感を引き出した。

現代マーケティングでは、「差別化(differentiation)」を越えて、消費者の「共感(resonance)」を引き出すことが大変重要だ。サイは、世界中の人たちの普遍的情緒や文化を正確に理解している。このような背景には、「真実性(authenticity)」がある。サイは、小さい時から他人の幸せな姿を見るのが、最も大きな楽しみだったので、その方法を捜し求めるため、人間の姿を絶えず観察してきたという。

先日のサイのライブ公演「THEたっぷりショー」では、6枚目のアルバム(江南スタイルは、サイの6枚目のアルバムのタイトル曲)の成功への感謝の気持ちを示すため、私財をはたいて、自分のアルバムを3万人の全ての観客に提供したという。そして、観客らにアルバムを頭上に上げさせ、世界の人々を眺めながら一緒に歌うユニークなシーンも演出した。サイは、このようなやり方で観客らに、長い間記憶に残る思い出を作った。観客らを幸せにしたいという哲学と気配りが、余すところなく示されたくだりだ。

自分の商品のほうがよいと、一方的に押し付けるプッシュ(push)マーケティングは、すでに過去の手法となっている。今は、上辺だけでなく、真剣な気持ちで近づく真実性が大事だ。トレンドを率いる先導者(tastemaker)として、サイが持っている本能的直感も、真心で彼ならではの哲学を守って、絶え間なく努力してきたたおかげだ。

このような観点から、サイの成功要因を細かく砕いて見つめること、すなわち分析することはそれなりに意味があるだろうが、マーケッターらが、それをそのまま真似したからといって、同じ成功が保障されるわけではない。

戦略はまるでビビンバのようなもので、複数の要素を単にかき集めても、全体を作ることはできない。サイの成功に、ビビンバ的要素があったとしたら、それはたぶん、「ファンの幸せのための彼の心構えと哲学」ではないだろうか。マーケッターらは、サイの成功要因を分析する前に、時間をかけてもくもくと自分だけの哲学を実践する方法から先に学ばなければならない。

●参加とコミュニケーション、開放のコード

サイの馬乗りダンスや歌詞、そしてプロモーションビデオは、誰もが簡単に真似したり、パロディーすることができる。「〜スタイル」の前に新しい言葉だけをつければ、自分だけの独創的パロディーを作り出すことができる。

実際、ユーチューブ上には、「大邱(テグ)スタイル」を皮切りに、「弘大(ホンデ)スタイル」や「警察スタイル」など、数々のパロディーやリアクション動画が登場している。消費者らは、パロディーを通じて、自分だけのアイデンティティを表現でき、ソーシャルメディアを通じて世界の人たちと共有することで、江南スタイルを中心にした一種の「共同体意識」を造った。

サイはこのように、客の参加を通じた共同ブランド化や消費者同士の連帯感の高揚、デジタルを活用した自己表現という新しい時代の基本精神を正確に引き出した。依然、多くの企業は著作権や特許などを重視している。しかし、ソーシャルメディアで口コミを作り出すためには、既得権を捨てる姿勢が求められる。新しい時代のマーケティングは、客らが自由にコンテンツを活用することで、参加を引き出す開放的姿勢を要求している。

サイの成功の背景には、共感と参加という、新しい時代が求めるマーケティング原則が集約されている。サイは、自分の歌詞のように、「ほんとうに何かを分かっているやつ」のようだ。



smile@donga.com