政治ポットキャスト「ナヌンコムスダ」（ナコムス）のメンバーであるキム・ヨンミン氏は昨年６月、「鉠国（ソウル大法学専門大学院教授）現象を語る」と題した本を出した。鉠教授が２０１０年に野党の政権奪還プランをまとめた著書「進歩執権プラン」を出版した後のことだった。キム氏は鉠教授が２０１７年に進歩派陣営の大統領候補として浮かび上がる可能性を多角的に分析した。ナコムスのもう一人のメンバー、キム・オジュン氏が２０１２年の大統領選を睨んで、文在寅（ムン・ジェイン）待望論に火をつけたのと似ている。鉠教授は今年４月の国会議員総選挙で民主統合党の公認候補として立候補したキム・ヨンミン氏の後援会長を引き受けが、キム氏は自身の暴言波紋で落選した。
◆鉠教授は最近、特定の大統領候補陣営に参加してはいないが、野党陣営の候補一本化運動に積極的だ。先月１７日には、ツイッターに「全国を回りながら文在寅−安哲秀両氏のトークコンサート『国民に文安を差し上げます』を開催しよう」と呼びかけた。一昨日、文在寅（ムン・ジェイン）民主党候補側が主催した討論会では、「一本化がならなければ友人や仲間たちをすべて動員して光化門（クァンファムン）でワンマンデモをして、それでも駄目ならろうそくデモを主導する」と声を荒げた。よりによって、２００８年に３ヵ月にわたってソウル都心を荒らしたろうそくデモを持ち出したのか、訳が分からない。
◆ルソーは社会契約論の中で国家と私人の関係を規定する憲法（公法）、私人同士の問題を扱う民法などを刑法と区別し、刑法については「法を守らせる法」と定義した。ところが、大学で刑法を教えている教授がろうそくデモを行うと言っているのだから、単なる修辞でなければ、違法性について十分な検討があったのか知りたい。ＢＳＥ（牛海綿状脳症）問題を巡るろうそくデモに参加した側でさえ「抵抗のシンボルであるろうそくが、いまや権力分け合いや野合のシンボルに変質するのか。これが民主主義か」と反発するほどだ。
◆鉠教授が政治参加に規制を受けないからといって、研究と講義という教授の本業が毀損されることがあってはならないはずだ。彼は、４月の総選挙でも、野党を支援するため全国を靴底が薄くなるまで回ったという。政界の長老である趙舜衡（チョ・スンヒョン）前議員も「鉠教授の専門は刑法なのに、鉠教授の活動を見ていると『一体研究はいつやっているんだ』という気がする」と厳しく批判したほどだ。彼が講壇を離れて政治に直接参加することの方が、学生たちに被害を与えないことになるのではないだろうか。
鄭然旭（チョン・ヨンウク）論説委員 jyw11@donga.com
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