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[オピニオン]受験生の母親

Posted November. 08, 2012 04:29,   

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「息子よ、おなかいっぱい食べなさい」。朝食としてわかめスープを用意した母親が、優しくかける言葉に、息子はぶっきらぼうに答える。「お母さん、今日は何だと思う。僕の模擬試験の日だよ」。試験の日にわかめスープなんて何考えてるんだ、と父親まで口を挟むと、母親はなんだか寂しい顔をする。放課後、息子は妹から送られた携帯メールを確認し、途方にくれる。「お兄ちゃん、今日はママの誕生日なのに、知らなかったの?」。韓国の製薬会社が流しているテレビコマーシャルだ。それを見て、共感をおぼえた。

◆昨日、たまたま曹溪寺(チョゲサ)に立ち寄って、人で埋め尽くされた本堂ではスペースが足りず、建物の外でお参りをする母親たちを目にした。大学修学能力試験(修能、日本のセンター試験に該当)の日程に合わせ、7月20日から始まった111日間のお祈りが終わる日だった。母親たちは、娘や息子の写真や名前の書かれた紙を前に、祈りを捧げる。境内の垂れ幕には、「子供のための幸せな同行」という言葉が書かれている。全国いたるところの教会や聖堂でも、受験生を抱えている母親たちの切実な祈りが、滝のようにあふれていた。毎年このごろになると、ニュースに欠かさず登場する定番が、「母親の切ない思い」だ。

◆入試は子供と両親が一緒に戦う戦争だ。ある受験生の母親は、「子供より両親の苦労のほうがより大きく、つらい。比較すれば、両親が80で、子供は20だ」と主張した。最近は、子供をよい大学に行かせる秘訣は、「祖父の経済力」、「母親の情報力」とともに、「父親の無関心」というジョークまであるが、父親の役割も無視するわけにはいかない。李滉(イ・ファン)の弟子・金澤龍(キム・テクリョン、1547〜1627)は、科挙試験を受ける息子のため、ありとあらゆる真心を尽くした過程を、日記に残している。科挙試験に合格した人が使った「幸運の筆」を借りるため、李滉の孫に懇願する内容の手紙を送り、国で定めた規格に合わせ、答案用紙まで自分で用意した。

◆今日、大学修学能力試験が、全国1191試験会場で行われる。今年の修能には、計66万8500人あまりが受験する。子供を目上の人のように世話しながら、黙々と苦楽をともにしてきた母親たちの願いは、ただひとつだろう。子供がこれまで努力した分だけ、ミスすることなく、うまく受験してほしいではないか。大学に入ったその瞬間から、世間のすべての子供たちは、あまりにも簡単に忘れてしまう。大学合格、その半分は自分を支えてくれた母親の分であることを。高3の母親たちも、いまこそ重い肩の荷を降ろしてほしい。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com