「役」という漢字は昔から良い意味で使われなかった。賦役、軍役など民を苦しめる言葉に役が使われた。孟子は政治をする大人と農業などに携わる小人を区別した。大人は労心、つまり心を使い、小人は労力、つまり力を使うと言った。そして、労心者は人を働かせ(役人)、労力者は働かされる(役於人)と言った。労役はわざわざ「強制」という修飾語をつけなくても、言葉そのものに強制の意味が入っている。
◆近代の刑務所は労役所(workhouse)から出発した。1555年、英国ロンドンのブライドウェル(Bridewell)に労役所が初めて設立された。乞食や浮浪者らを集めて社会から隔離させ、労役を通じて勤勉性を身に付け、職業教育を受けさせて労働市場に進出させるという趣旨だった。ブライドウェルはあまりにも有名になり、その言葉自体が刑務所を意味するようになった。懲役か禁固刑を言い渡されると、刑務所に入れられる。懲役は労役をし、禁固は労役をしないという違いがある。禁固刑はあまりなく、懲役刑が殆どだ。刑務所が元々労役をするところだったためだ。
◆罰金刑は懲役や禁固などの自由刑と区別される財産刑だ。しかし、6ヵ月以下の短期では隔離の効果もあまりなく、罪状のさらに悪い人に影響されやすい恐れがあるため、今は罰金刑がたくさん宣告される。第1審刑事事件の中で書類だけで審理して財産刑を言い渡す略式命令事件が85%が越え、残りの公判事件の中でも25%ぐらいが罰金刑を言い渡される。しかし、罰金刑は富裕な人と貧しい人に与える影響力が違い。富裕な人には罰金の金額が大した金額ではないので、刑罰として意味がない場合が多いが、貧しい人はお金が無いため、拘置所の労役所に自発的に入ったりもする。
◆法務部の資料によると、ソウル中央地検の罰金未納労役所誘致処分執行件数は08年2757件、09年2819件、10年2918件、昨年3221件と毎年増え続けた。経済状況がさらに悪化した今年は上半期だけで2503件が執行されるほど増えた。1日の労役は大体5万ウォンに換算される。罰金50万ウォンだと、労役所誘致10日となる。1日5万ウォンも稼げる仕事がなく、自由を返上する人が多くなっているというのだから、残念で極まりない。
宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com