中学生だった1996年、A氏は両親が離婚した後家出した。京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)一帯を転々としながらオートバイ店の従業員で働いたり、夜食屋でフードデリバリーの仕事をしながら、事実上孤児のように過ごした。そのうち、04年、あるオートバイ店で双生児のイ某被告兄弟(35)とカン某被告(34)と知り合った。A氏は2〜3歳年上の彼らをお兄さんと呼びながら懐いた。08年初め、イ被告兄弟が京畿城南市に建築事務室をオープンしてからは、時々そこで寝泊りしたりもした。09年初めからは事務室で過ごした。
ところで、釈然としない出来事が発生した。09年5月、カン被告らと早朝の釣りに行ってきたA氏(当時28歳)が翌日、イ被告兄弟の事務室のトイレで遺体で発見された。死因は一酸化炭素中毒。シャワーを浴びている途中、トイレに設置された瞬間温水器から液化石油ガス(LPG)が漏れて窒息死したものと調査された。おかしな点はA氏が死亡して1ヵ月も経たなかった時、イ被告兄弟がA氏の名前で入っていた死亡保険金17億ウォンを保険会社に請求したこと。イ被告兄弟がA氏が死亡したら、自分たちに保険金が支給されるように契約したもの。
これを胡散臭く思った警察は、イ被告兄弟やカン被告らを捕まえて、彼らが保険金を狙って緻密に計画を立ててA氏を殺害した事実を突き止めた。彼らは08年末ごろ、密閉された空間でガス瞬間温水器を利用してシャワーを浴びていた女子高生が一酸化炭素中毒で窒息死したというニュースを聞いて、同じような犯行を犯したことが分かった。普段、あまりお酒を飲まないA氏に睡眠薬を混ぜたお酒を飲ませて気絶させた後、予めシリコンで窓の隙間などを密閉しておいたトイレにA氏を裸の状態で押し入れて、温水器に連結されたガス配管を切って事故死に見せかけた。
兄弟は「濡れ衣を着せられた」と言って犯行を否認したが、裁判所は彼らに重刑を言い渡した。ソウル高裁刑事1部(部長判事ハン・ヤンソク)は11日、犯行を主導した双生児兄弟の弟のイ被告に無期懲役を、双生児の兄と共犯のカン被告に懲役20年を言い渡した。
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