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「最前線では一日に数個のジャガイモのみ配給」 脱北の元北朝鮮将校が証言

「最前線では一日に数個のジャガイモのみ配給」 脱北の元北朝鮮将校が証言

Posted February. 25, 2013 04:21,   

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「うちの女軍らも、毎晩、泥棒を働きに歩き回りました。ジャガイモや大根を盗んでお腹を満たしたんですね」

最近、北朝鮮と中国との国境地域で会った30代後半の人民軍女性軍人大佐出身ソン某氏。2年前に北朝鮮から脱出し、中国でほかの脱北者らと隠れて暮らしている氏は、脱出前に軍隊にいた10年間を振り返れば、今も、身震いがする。彼女が青春を捧げた人民軍は、片方では高度技術の集約とも言える核実験を行っているが、他方では、栄養失調で兵士らが死んでいるところだ。

ソン氏は、大学卒業後、最前線の江原道(カンウォンド)某地域で、高射砲部隊の中隊長として勤務した。一つの中隊は25人前後の3〜5の小隊からなっている。高射砲は、その大半を女性軍人が手がけている。除隊後、しばらく社会生活を送った後、北朝鮮から脱出したが、その間同様に軍人だった夫は、肝臓がんで死亡した。子供らは今も、北朝鮮に残っている。

彼女は軍隊で、泥棒を学んだ。女子私兵らと周辺の民家の畑で、こっそり作物を取ってきて、食料として使った。ソン氏は、「1日の配給がジャガイモ数個の時も数え切れないほど多かった」とし、「最前線は、部隊の周辺に民間人宅がある場合多く、お腹がすいて仕方なく、民間人の畑から作物を盗まざるを得なかった」と話した。彼女はまた、「男性軍人らは、民間人宅の家畜やかぼちゃなどを残さずさらっていく。電灯を盗んた売るケースも多い」と主張した。

物資不足や飢饉は、女性軍人らにより大きな被害を与えた。ソン氏は、「生理が無くなり、髪の毛が抜けて、もっと悲惨だ」とし、「一小隊に栄養失調が5、6人、結核がまた5、6人いる。健康な女軍は、指で数えるほどだ」と伝えた。栄養状態が悪化している上、衛生も悪く、結核がはびこっているが、当局は、国民感情を気にし、患者らを除隊させず、別途に隔離している。

軍隊の事情が厳しくなったのは、皮肉なことに、強力な先軍政治を打ち出した金正日(キム・ジョンイル)体制からだ。1994年7月に金日成(キム・イルソン)死亡後、同年9月に哀悼期限が切れると、毎月1キロつずつ配給していた砂糖菓子類の供給が途絶えた。ソン氏は、「当時、食料難で、『苦難の行軍』が始まったが、軍への待遇が悪化し始めたと聞いている」とし、「その後も、経済事情が悪化し続けた上、軍内部での腐敗が深刻化し、私兵はもとより、中間幹部らの生活もひどすぎる」と打ち明けた。

北朝鮮では、最も貧しい階層は、「山間部の軍部隊の家族」や「軍部隊周辺の農民」という言葉まで出ている。軍に食べ物がなく、民家を襲うからだ。氏は、「昨年7月、黃海南道(ファンへナムド)

の軍部隊から渡ってきた人から、『町の住民らが人肉を食べるのを見たことがある』という話を聞いた」とし、「私が北朝鮮にいた時より、さらに状況が悪化しているようだ」と話した。

また、配給事情が悪化し、軍内部の中でも、親が誰かによって生活の格差が激しい。党幹部らは、子供を入隊させないようと、最初から免除させたり、部隊周辺の民間人宅を決めておいて、定期的にあそこで栄養補足をさせるという。



koh@donga.com