朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が内定した閣僚候補17人のうち9人が国会の人事聴聞会を通過した。ところが、彼らは未だ長官執務室に出勤できずにいる。朴大統領が新長官たちに任命状を与えていないためだ。朴大統領は長官任命状を政府組織法改正案が可決された後に一括して与えるか、もしくは聴聞会を通過した長官から先に与えるかで決めかねている。政府組織法改正案を巡って民主統合党(民主党)が理不尽な主張をしていることを受け、朴大統領が野党を圧迫している格好だ。その代わり、大統領府は許泰烈(ホ・テヨル)大統領秘書室長主宰で毎日大統領首席秘書官会議を開き、省庁を担当する1、2級の秘書官らに省庁を仕切らせることで、事実上長官の役割を任せている。しかし、これは変則を超えて違法に当たる。
大統領が長官任命状を与えないため、次官の人事も遅れており、各省庁の後続人事も全面的に止まっている状態だ。離任する長官は業務に消極的で目ざとい部下職員たちは、離任する長官にはまともな報告さえもしていない。離任する長官たちは、すでに省庁の運営からは手を引いており、任命状がもらえないまま新閣僚は、外部の別途事務所で業務をこなすという「奇妙な」状況が続いている。聴聞会を通過した尹炳世(ユン・ビョンセ)外交通商部長官候補者は、世宗(セジョン)路政府庁舎に出勤できず近くのテウビルの12階に構えた執務室で外交部幹部たちから報告を受けている。副首相に格上げされた企画財政部長官に内定した玄旿錫(ヒョン・オソク)氏は13日になって聴聞会に出席する。
政府組織再編案を通過させてくれない野党に対して、言うべきことは言っても、聴聞会を通過した9人に対しては任命状を与えて閣議も早急に開くべきだ。李明博(イ・ミョンバク)政権下で任命された長官が混じって「混合内閣」になっても聴聞会を通過した長官らが国政の空白を埋めなければならない。政府組織法に待ったをかけている野党が憎いからといって任命状を与えずにいるのは、いくら好意的に解釈しても大統領が嫌がらせをしているという印象を与える。
大統領府の職制が国会を通過していないことを理由に国家安保のコントロールタワーとなる金章洙(キム・ジャンス)大統領国家安保室長を大統領首席秘書官会議に出席させていないのも、野党に対する無言の示威と解釈する他ない。朴大統領はコミュニケーションと妥協のリーダーシップを発揮して危機的状況を打開していかなければならない。大統領は、国政運営の総責任者であり無限の責任を負うからだ。ましてや、今は北朝鮮が露骨的に韓国を核の火の海にすると威嚇している厳重な時期ではないか。