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ハッカー、英雄か破壊者か

Posted April. 18, 2013 06:11,   

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1990年代、「ハッカー」が韓国に初めて現れたというニュースがヘッドラインを飾った日があった。インターネットが普及し始めた時期で「ハッカー」という職種が珍しかったので何度も記事を読み返したことを覚えている。当時は、出入国管理事務所が「国内に入ってきた」ハッカーを捕まえるために空港に出国禁止命令を下したという笑い話が出回った。コンピュータウイルスもコンピュータに住む生物的なウイルスと勘違いし、「General Failure」というメッセージを「フェイラー将軍」と読む無知な時代だった。

今は多くの人がハッカーのことを知っている。優れたプログラミングの能力を「闇の経路」で発揮する人々だ。プログラムを設計すればプログラマーで破壊すればハッカーという点で、プログラマーとハッカーはコインの両面だ。ハッキングは違法だが、ハッカーは「未成熟なコンピュータの天才」といった印象を与える。コンピュータ・ネットワークをダウンさせるなど問題を起こしたハッカーを企業がスカウトすることもある。既存の秩序を愚弄して破壊するという点では非難の対象だが、既存の秩序に反感を持つ人には痛快なカタルシスを提供する。

文学作品やハリウッド映画で、ハッカーは秩序の破壊者であり隠れた英雄だ。映画化もされたスウェーデンの小説『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』のヒロインであるリスベットは天才ハッカーだ。個人の幸せを奪った政府に対抗して、彼女は新聞記者である男の主人公と共に優れたハッキング能力で事件を解決する。映画『ダイハード4』で、主人公のジョン・マクレインの相手は米国のシステムを攻撃する元政府コンピュータセキュリティ要員だ。マクレインのそばには彼を助ける天才ハッカーがいる。

3月20日の放送局と金融機関に対するサイバー攻撃は、予想通り北朝鮮偵察総局の犯行であることが明らかになった。この渦中に、「アノニマス」が北朝鮮の対南宣伝サイト「我が民族どうし」をハッキングして加入者リストを公開したうえ、太陽節の15日に北朝鮮ウェブサイトを5つもハッキングした。アノニマスは声明を出し、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の辞任、核兵器の生産と核脅威の中止、北朝鮮住民の自由なインターネットへのアクセス許可を求め、6月25日に北朝鮮の内部ネットワーク「クァンミョン」をハッキングするという計画も明らかにした。「一人独裁体制vs匿名ハッキング集団」という構図は、悪い領主に対抗するロビン・フットを連想させる。実際にアノニマスは自分たちのシンボルに、独裁体制に対抗した義賊『Vフォー・ヴェンデッタ』の仮面を使う。

アノニマスの行いを見ると、彼らの行為に拍手を送ることはためらわれる。彼らは、米中央情報局(CIA)と米議会、日本企業ソニーをハッキングした。有名な内部告発サイト「ウィキリークス」や「ペイパル」などのオンライン決済企業がサービス提供を拒否すると、これらの企業も攻撃した。彼らは、北朝鮮や中東のような独裁体制だけでなく、政府主導のあらゆるインターネット規制も拒否する。アノニマスの意味が「匿名」であることを考えれば、彼らの志向することは明らかだ。彼らが反対するのは権威と既存の秩序であり、支持するのは無制限の情報交換と表現の自由だ。彼らにリーダーと命令体系がないのは当然のことだ。インターネット上で国籍に何の意味があり、ネットワーク組織でリーダーがあり得るだろうか。

北朝鮮のサイバー部隊とアノニマスが対立すればどうなるか。コンピュータの専門家ではないが、正解を予想することができる。北朝鮮サイバー部隊の構成員は韓国なら三星(サムソン)電子やネイバーで働く頭脳かもしれないが、命令によって仕事をする。ハッキングの本質は自発性と無定形性だ。インターネット上で定形化されたシステムが無定形に勝つことはできない。まさにこの点がアノニマスの行いが興味深いものの歓呼できない点でもある。アノニマスは北朝鮮に民主主義ではなく直接民主主義を求めた。2008年のろうそくデモ隊も選挙で選ばれた政府を否定し、直接民主主義を求めた。匿名とハッキングは魅力的だが、危険な組み合わせだ。