三星（サムスン）電子の野心作「ギャラクシーＳ４」の厚さは７．９ｍｍだ。直前モデルのギャラクシーＳ３に比べて０．７ｍｍ、同シリーズの元祖であるギャラクシーＳに比べると２．０ｍｍも薄くなっている。製造技術が高度の発展を遂げ、最近の携帯電話市場で厚さを１〜２ｍｍ薄くするのは「革新」と呼ばれている。三星電子は開発過程でより狭い空間でより多くの機能を搭載するため、社を挙げて取り組んでいる。
ところが、これには知られざる、隠れた主役たちがいる。携帯電話の外装材を作るのに使われる素材の開発者たちとカラーデザイナーたちだ。彼らは自らのことを「デザイン」と「エンジニア」の合成語である「デザイニア」と呼んでいる。素材分野のパイオニアであるという意味も込められている。電子部品の機能と配置をいくら集積しても外装材が薄くならなければ、製品の革新的なスリム化の実現は不可能だ。
ギャラクシーＳ４が発売された２６日、京畿道義王市古川洞（キョンギド・ウィワンシ・コチョンドン）の第一（チェイル）毛織の研究開発（Ｒ＆Ｄ）センターでデザイナーたちに会った。
●０．１ｍｍ薄くせよ
携帯電話に使われる外装素材は大半がポリカーボネート（ＰＣ）で作られている。フロントカバーとリアカバー、バッテリーカバーの３ヵ所に主な使われている。
とくにバッテリーカバーは携帯電話の厚さと直結する部品。ギャラクシーＳ４のバッテリーカバーの厚さは０．７〜０．８ｍｍで、２０１０年に発売されたギャラクシーＳ（１ｍｍ）に比べて０．２〜０．３ｍｍ薄い。大したことでもないように見えるが、実は至難の業である。ギャラクシーＳ４が今回８ｍｍの壁を破ったのも、実は外装素材のスリム化が実現して可能になったと言える。
カバー素材開発の最大の難関は厚さをより薄くしながらも耐久性や耐熱性、耐衝撃性を損なわないか、より改善させなければならないところにある。第一毛織・ケミカル事業部のウ・ウンテク責任研究員（３７）は、「プラスチックの強度は厚さが０．１ｍｍはもちろん、０．０１ｍｍ薄くなるだけでも物凄く弱くなる。製品が薄くなるトレンドに追いつくためには、外装素材の開発を一刻も怠っていられない」と語った。
素材の性能改善は、普通基本素材であるＰＣに合成ゴムなど異質の添加物を少しずつ追加する方法で進められる。開発者たちは、これを食べ物に喩えて「レシピを作る」と説明した。まるで料理人が最高の料理を作るために最上の食材を仕入れるのと同じように、素材開発者の中には最高の添加物を探し求めて国内外を旅する人も多い。
色を付けるのも簡単な工程ではない。色を出す染料や顔料も化学物質であるため、素材の物性を完全に変えてしまう可能性があるからだ。興味深いのは、カラーによって染料や顔料の配合量に違いが出るという。例えば、ホワイトを出すためにはブラックより遥かに多い染料や顔料を混ぜなければならない。これが素材開発者とカラーデザイナーたちが歯車のように緊密に協調しなければならない理由だ。
●色のマジシャンたち
第一毛織は今年初め、Ｒ＆Ｄセンター内に既存の「カラーラブ」の上位組織として「先行デザイナーチーム」を新設した。素材事業部門まで直接仕切っているイ・ソヒョン経営企画担当副社長の作品だ。同チームは今後、素材デザイン戦略を実現する先兵役を担うことになる。このため、三星電子デザインセンターからカン・スギョン先行デザインチーム長（４７・女）を呼んできたし、カラーラブにいたカラーデザイナーたちを先行デザインチームに配置させた。
カラーラブは第一毛織が素材部門のカラーデザインを強化する目的で２００５年に設置した。ここでは、「色のマジシャン」と呼ばれるカラーのスペシャリストたちが毎日７０あまりの新しいカラーを作り出している。このうち７〜８％だけをプラスチック素材に採用する候補として残し、残りは捨てる。これまで、このプロセスで確保したカラーだけでも３万種あまりに上る。
先行デザインチームのカラーデザイナーたちは、単に色だけを扱っているのではない。彼らは「１０代でない、成熟した２０代のためのピンク」「お婆さんのクローゼットから出たばかりのブラウン」「２０年先のブラック」など、定型化されていなアイデアを次々と吐き出す。
チーム長のカンさんは、「色においても伝統的な価値観を破らなければ人々をわくわくさせることはできない。夢見る人たちであるデザイナーたちがそれぞれのクリエイティブを活かして、視覚的に表現する瞬間が、まさしく革新が起きる瞬間なのだ」と話した。
drake007@donga.com
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