中国現代美術では、1980年代以降に生まれた「八零後」世代の登場を、新たな分岐点として取り上げている。その前の世代らが時代的な話題について発言したのとは違って、物質的な豊かさを享受した新世代の作家らは、個人主義や自己中心的な性向を色濃く現している。文化だけでなく、あらゆる分野で、八零後世代は、変化の中心として浮上している。中国経済の重要消費層であり、韓国に来る中国人観光客のうち、デパートの売上げ上昇に最も貢献する「大口」も、ほかならぬ彼らだ。
◆人口と国力は比例すると信じていた毛沢東首席が退いた後、改革開放の総企画者・頳小平は、1970年代末から、強力な産児制限政策を実施した。八零後世代の誕生を率いた「1世帯1子」政策だ。少数民族を除き、2人以上を産めば、所得に応じて巨額の罰金を払わされることになる。両親や両家の祖父母の大人6人から、ちやほやされながら育てられてきた一人っ子が、自ずと大勢となった。「小皇帝」と呼ばれたこれらの子供らが、いまや社会の柱となっている。
◆強制的な人口調整政策で、中国人口の伸び率は0.5%台にまで落ちたが、強制的な人工中絶や戸籍の無い子供の急増など、人権侵害を巡る議論が高まっている。豊かな新世代は、罰金を覚悟してでも、さらに子供を産んだり、米国などへと遠征出産に行って、国籍を取得するケースも生じている。さらに、労働人口の減少や急速な人口高齢化が、経済発展を遮るネックとなりかねないという予測まで出ており、中国の一人っ子政策は、中国社会の熱い話題となっている。
◆映画「紅いコーリャン」、「初恋の来た道」、「英雄」を演出し、08年北京オリンピックの開会式や閉会式の総監督を務めたチャン・イーモウ監督の子供の数を巡り、中国が騒然となっている。前妻との間1女、再婚した妻とは2男1女、浮気による子どもまで4人の女性と7人を儲けているという主張が持ち上がり、人口政策当局が調査に乗り出しているという。それが事実なら、280億ウォンの罰金を払わされることになる。貧しい人はさらに産みたくても、強制的におろされることになるが、富や名誉を手にした有名人は、別世界に住んでいることが明るみにでたのだ。貧富や階層間格差は、中国社会の引き金でもある。
高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com