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金正恩の核賭博に飢える子どもたち

Posted May. 30, 2013 03:12,   

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2012年、北朝鮮の両江道恵山市(ヤンガンド・ヘサンシ)の農民市場。13才のユジン(仮名)は、一日中もやしを売った。2006年に金を稼いでくると言って出て行った母親からの連絡が途絶え、学校に通えなくなった。体の不自由な叔母の家に居候をして生きていかなければならなかった。

いつもお腹を空かせた。1日3食を食べた記憶はない。1、2回の食事ものびた麺やトウモロコシのご飯で済ませることが多かった。食べない日も少なくなかった。3日間食事をとらず寝てばかりいた時もある。売っていたもやしを噛んで空腹をまぎらわせたこともあった。市場で売られている「人造肉」はただ見ているだけだった。豆を肉のようにつぶして作られた人造肉はユジンの大好物だ。

ユジンは昨年末、豆満江(トゥマンガン)を渡って脱北した。先に脱北して韓国に定着した母親が8回目の試みで脱北ブローカーを通じて娘を北朝鮮から連れて来ることに成功したのだ。ユジンは食べたい物を尋ねた母親に「人造肉が食べたい」と言った。ユジンが思いつくのはそれだけだった。

●金正恩よりも怖い飢え

北朝鮮の食糧事情は、2012年に金正恩(キム・ジョンウン)体制が本格的にスタートして以降、悪化の傾向にある。国連食糧農業機関(FAO)は昨年、北朝鮮の食糧不足量を約50万トンと予想したが、今年2月これを65万7000トンに増やした。慢性的な食糧難が続いた場合、280万人の住民が欠食する食糧不足状態が続くとみえる。5月初めに国連世界食糧計画(WFP)が発表した対北朝鮮事業評価報告書も、今年第1四半期(1〜3月)の北朝鮮家庭(87世帯)の80%が栄養不足状態にあるという結果を出した。

北朝鮮の幼児をはじめとする脆弱階層は食糧不足問題にさらされている。今年3月、国連児童基金(UNICEF)とWFPが共同発表した北朝鮮食糧報告書によると、調査対象の子どもの27.9%に当たる47万5868人が慢性的な栄養欠乏問題を抱えている。このうち8.4%は深刻な状態だった。

母親とともに脱北した後、代案学校「勿忘草学校」に通う5才のパク・ジェウォン(仮名)君は、入学初期、お腹が痛いと言って転げまわり教師たちを慌てさせた。飢えた生活に慣れたパク君が突然多量の食事をとったので、お腹をこわしたのだ。同校を運営する勿忘草財団のパク・ソンヨン理事長は、「子どもたちの腸の機能が低下しているため、消化問題でよく病院で治療を受ける」と伝えた。

北朝鮮の子どもたちは飢えで苦しむだけでなく、栄養不足による各種病気にも悩まされている。北朝鮮で「コッチェビ」(浮浪児)生活をし、昨年末に脱北した8才のキム・ジンヒョク君の場合、最近受けた健康診断で結核と診断された。市場で地面に落ちた食べかすを拾って食べて生活していた時にかかった病気が発病したのだ。

●このままでは「同じ民族、別の人種」の悲劇も

栄養不足で成長できない北朝鮮の子どもたちの体は小さい。例えば、ユジン(13)の体格は韓国の9、10才の子どもと同じくらいだ。同じ年齢の平均(156センチ)身長よりも何と30センチも低い。

ソウル大学生活科学研究所の2011年の発表資料によると、韓国の満11才男子の平均身長は144センチ、体重は39キロだが、北朝鮮の男子は125センチ、23キロ。南北の身長差が19センチ、体重差は16キロだ。

ソウル大学の尹芝賢(ユン・ジヒョン)教授は、「たんぱく質や炭水化物などの5大栄養素やビタミン、鉄分、ヨードといった微量元素が不足すれば、子どもの成長発達だけでなく認知の発達や学習能力にも否定的な影響を及ぼす」と説明した。

南北の子どもたちの栄養状態やこれによる発達の格差が長期化すれば、事実上、人種が違うと感じられるほど深刻な相違が生まれると、専門家たちは指摘する。「後生遺伝学(epigenetics)」または「後成遺伝学」の観点で説明できるという。

亜洲(アジュ)大学病院医学遺伝学科のチョン・ソンヨン教授は、「(分断後)約60年しか経っていないため、南北間に遺伝的な変化が起きたと見ることはできない。しかし、栄養状態の違いによってある遺伝子は発現し、ある遺伝子は発現しないという違いがあり得る」と指摘した。