日本軍の慰安婦に対する強制性を認めた河野談話が1993年に発表された当時、官房副長官として談話の作成に関与した石原信雄氏が、「河野談話の取りまとめに関わった人間からすると強制性を認めている」と明らかにした。
石原氏は19日に報道された毎日新聞とのインタビューで、「慰安婦の強制性について政府はあいまいだと橋下徹大阪市長が批判している」とし、「しかし、調査員を派遣して慰安婦とされた人たちで政治活動をしていない人を選び、中立的な雰囲気の下で話を聞いた結果、明らかに本人の意思に反するものがあったことは否定できないという心証を得た」と話した。
「物証はないのか」という質問に対して、石原氏は「文献はない。焼いてしまったという人がいるが、そうではないと思う。当時の軍であっても、本人の意に反してでも集めろなどという文書を出すはずがない」とし、「慰安婦の募集は軍部が直接やったわけではない。業者に委託し委託料を払った。朝鮮総督府の巡査などが業者の依頼を受けて強引に応募させた」と述べた。そして、「工場で挺身(ていしん)隊に行くと言われて行ったら、慰安所で帰してもらえず、だまされたという人もいた」と話した。
このような石原氏の発言は、先月27日、橋下市長が外国特派員協会での記者会見で、「元慰安婦の証言の信憑性に疑問がある」、「日本政府や軍が組織的に女性を拉致したり人身売買した事実はない」と発言したことに真っ向から反論したものだ。
橋下市長の発言で、日本維新の会の支持率が下落すると、日本維新の会の石原慎太郎共同代表が橋下市長とは一線を引く行動に出た。橋下市長は、日本維新の会の共同代表でもある。石原代表は18日、共同通信とのインタビューで、「日本軍慰安婦は必要だった」という橋下市長の発言に対して、「言わなくてもいいことを言って、タブーに触れた。大迷惑だ」と批判した。
橋下市長は19日、大阪市庁舎で石原代表の批判について、「(発言は)間違っているとは思っていない。有権者に繰り返し丁寧に説明していく」と述べた。