日常的に家庭内暴力を振るったり、酒を飲めば乱暴を働く配偶者が拘束されれば、しばらくは隔離され、安心できるかもしれない。しかし、釈放後、引き続き一緒に暮らさなければならないことになれば、同じ状況が再び起こりかねない。拘束捜査が完全な解決策とはいえない。精神健康医学科の専門医らからアドバイスを受け、彼らの特性を分析し、治療法について調べた。
●人格・妄想障害、薬物治療やカウンセリングが必要
酒を飲まなかったのに、日常的に暴力を振るう人なら、精神疾患の人格障害者かもしれない。
その中でも、「偏執性人格障害」は、恐ろしい病気といわれている。たいしたことでもないのに、過敏な反応を示し、過度なほど敏感に解釈し、相手を困らせる。相手の善意やなんら意図の無いことも、悪意的に受け入れ、長い間問い詰める時もある。些細なことに怒り、「殺す」、「火をつける」と憤る人たちがそれに当たる。
「自己愛性人格障害」は、自宅の外では大丈夫かのように見えるが、自宅に戻ってきたら、乱暴を振るい類型だ。自我像があまりにも高く、自分のみ偉いと思う人たちが、主にこのように振舞う。上辺ではよい姿を見せようと努め、人たちがそのような自分を崇めながら、服従することを願うが、内面には劣等感があり、それに触れば暴力的な性向を示す。
人格障害は、薬物治療や長期的カウンセリングを受けなければならない。しかし、治療は容易ではないといわれている。
妄想障害の一つである妻の不倫を疑う症状や夫の不倫を疑う症状も、家庭内暴力の原因になる。実際、おきてもいないことを妄想し、暴力を振るうからだ。配偶者が道行く人と一言交わしただけでも、浮気をしたと暴力を振るい、知らない人が配偶者を見ただけでも、怒る形だ。
三星(サムソン)ソウル病院・精神健康医学科のバク・ウンホ教授は、「この病気は、薬物治療が基本であり、薬物できちんと治療できなければ、ほかに方法がない」と話した。精神健康医学科の専門医にカウンセリングを受けることも欠かせない。バク教授は、「個人によって違うが、普通2〜3年ずつカウンセリングを受ける」とし、「しかし、当事者らがカウンセリングを受けようとしないケースが多い」と語った。
●飲酒暴力は酒から止めるべき
最も多くおきる家庭内暴力は、酒を飲めば配偶者を殴ることだ。脳の前頭葉には、普段、攻撃性を抑制する本能がある。アルコールは、前頭葉のこのような機能を麻痺させる。普段は、怒りをうまく抑えているが、酒を飲めば、抑制機能が麻痺し、暴力的性向を見せる。酒を飲めば、態度が様変わりして暴力を振るったりもするが、習慣的に酒に酔って暴力を振るう人たちもいる。このような行動は、酒を多く飲む習慣が重なって発生する。
ソウル峨山(アサン)病院・精神健康医学科の金昌潤(キム・チャンユン)教授は、「酒を多く飲めば、微妙に人格に変化が起きはじめる」とし、「忍耐や余裕がなくなり、過敏になる上、自己中心的かつ感情調整のできない人へと変わる」と語った。このような人は、酒を止めるのが最善だ。
日常的に酒を飲み、酒を止めれば眠れない禁断症状が現れれる。金教授は、「少なくとも1〜2週間は、薬を飲みながら、禁断症状や酒への渇望を減らさなければならない」とし、「その後は本人の意志で酒を止めなければならない」とアドバイスした。
もちろん、酒を全く飲まず、別途の精神的疾患がないのに、家庭内暴力を振るうこともある。相手から理解されていないという気がする状況が続き、会話の仕方が未熟で、自分の感情や意思を綺麗に表現できなければ、暴力に走りかねない。たとえば、自分が怒ったとき、配偶者から、「いったい、何様だと思っているの?」とか、「私の言葉が間違っているわけ?」といわれれば、理解されていないと思って、暴力を振るうという。
このような人たちも、医師から手助けを受ければ、行動を好転させることができる。金教授は、「夫婦間に深刻な問題は無いのに、コミュニケーションがうまくいかず、追い詰められた瞬間、暴力を振るう時は、精神科で相談を受けるのが役立つこともある」とし、「精神的問題があると指摘されることを恐れず、コミュニケーションの仕方について学ぶのがよい」と話した。