中国政府はこれまで、厳しく実施してきた「一人っ子政策(計画生育)」を、早ければ今年末、大幅に緩和する案について検討している。労働年齢(15〜59歳)の人口が減少に転じ、急激な高齢化を受け、人口構造に赤信号がともっているからだ。
中国国家衛生計画生育委員会(計画生育委)は、「両親のうち、一人でも一人っ子の場合は、2子目を認める案(単独二胎)」を検討していると、国営メディアの新華社通信が最近報じた。齊魯晩報も、早ければ今年度末、遅くても来年初頭から、同政策がモデル実施されると、最近報じた。
これを受け、単独二胎政策は、一部の地域でモデル実施した後、徐々に全国に拡大するものと見られる。11年4月、中央政治局委員らの集団学習で、人口問題について講義を行った人民大学のホ振武教授は、北東地域や浙江省で、先に同政策を実施した後、続けて北京や上海を経て、全国に拡大・実施する3段階対策を示した。同政策が全面的に実施すれば、最初の5年間は、計950万人の子供がさらに生まれると、米国の声(VOA)放送が6日、分析した。現在、中国では毎年約1600万人が生まれている。
中国は、1978年12月、全国人民代表大会で、00年の人口を12億人以内に抑制するという目標を掲げた後、その翌年の1月から、「一人っ子」を基本的枠組みとする強力な産児制限政策を繰り広げてきた。
その後、民族や地域によって、同政策に例外を設ける方向に、政策は少しずつ見直されてきたが、基本的枠組みは変わっていない。現在、中国で1子のみ設けなければならない世帯は、35.4%ほどだ。また、△第1子が娘の場合に限って、2子目まで設けられる世帯は53.6%、△少数民族への恩恵、または両親ともに一人っ子など、特別な理由で2子まで設けられる人口は、9.7%だ。韓国のように制限を受けていない人口は、少数民族のうち、職業が遊牧民の場合など、1.3%に過ぎない。
同政策を違反すれば、巨額の罰金を払わされ、公職につくことができないなど、処罰が強い。中国人口当局は、長い間広範囲にわたって強制的な人工中絶を行ってきた。そのため、世界の人権団体は、同措置を中国の代表的人権蹂躙事例として取り上げてきた。中国政府は、一人っ子政策のおかげで、1970年代初頭、5.8人だった出生率が、最近1.5人へと下がり、3億名以上の人口を縮小する効果をもたらしていると評している。
中国人口当局が最近、産児制限政策を大幅に緩和しようとする理由は、人口構造の奇形化が深刻化しており、国の発展にネックとなっているという判断からだ。中国の労働年齢人口は、昨年から減り始めている。安価な労働力で中国の発展を率いてきた「人口ボーナス」現象が次第に消えつつあるという意味だ。一方、社会は早いテンポで老いていく。中国の65歳以上の高齢者の割合は、00年すでに7%を超え、高齢化社会に入り、20年代前半には14%を超える高齢社会、30年前半には20%を超える超高齢社会になる。00年は、労働年齢人口6人が、60歳以上の高齢者1人を扶養したなら、30年は2人が1人を扶養することになる。