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ペンギンに迫る未来

Posted September. 17, 2013 04:17,   

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与党セヌリ党の尹在玉(ユン・ジェオク)議員は、自称「警察のレジェンド」だ。自ら伝説的人物と自負するほど、警察隊出身の警察公務員として活躍した。尹氏は1981年、224倍の競争に勝ち抜き、警察隊1期を首席で入学し、首席で卒業した。警察隊出身としては、警監から治安正監に昇進するまで、ずっと「1番」という記録を残した。しかし、そこまでだった。京畿(キョンギ)警察庁長時代、治安総帥である警察庁長官の地位をめぐる競争に負け、制服を脱いだ。

昨年4月に第19代総選挙に出馬する前、2011年末に尹氏は著書『最初のペンギンはどこに行ったのか』を出した。尹氏が語る最初のペンギンとは、不確かで危険な状況で挑戦と変化を選んだリーダーだ。アザラシなど水中の天敵が怖いため飛び込むことをためらうペンギンの群れの中でも、果敢に海に飛び込み、仲間を導くペンギンという意味だ。尹氏の本の各所で、警察隊出身という自負心がにじみ出ている。

警察隊のトップランナーとされる最初のペンギンの時代が終わりつつある。尹氏に続き今年4月、徐千浩(ソチョンホ)元警察大学長、カン・ギョンリャン元京畿警察庁長、李康徳(イ・カンドク)元海洋警察庁長など警察隊1期出身が警察庁長官になることができず、次々と組織を去った。彼らは皆、警察隊の後輩から「警察庁長官の器」と評価されていた。一部ではこのような状況を「警察隊の屈辱」と言うが、記者はそうは思わない。警察隊の治安総帥輩出は、時間の問題にすぎない。警察隊出身は1年に120人、警察公務員、それも警衛という階級で任用され、警察の要職を事実上独占している。1年に50人の幹部候補生、約5人の特別採用の国家試験受験者が、「近い将来警察隊出身によって窒息死する」という危機感を持つことは、決して誇張ではない。警察組織の95%を占めても、警察隊出身に自分の運命を任せなければならない巡査出身の士気の低下は、重症慢性疾患も同然だ。

警察隊改革は政権が変わるたびにお決まりのように登場した。朴槿恵(パク・クンヘ)政府も例外ではない。安全行政が最近メディアに公開した「警察組織活性化案」によると、警察隊入学定員の削減、一般大学との公平性の向上、無償教育・卒業後の警衛任用特典の改善の3分野で警察隊改編作業が行なわれる模様だ。

一時、「警察のエリート」と評価されたものの、今では改革の対象になった警察隊出身は悔しがる。「いったい私たちが何をしたというのか」という主張だ。しかし、彼らが意図したわけでなくとも、「警察隊○○期」という先輩・後輩関係で縛られ、組織の多くを非主流として疎外するという指摘から自由ではない。警察隊出身の要職の独占はますます深刻化し、これに比例して警察隊を出ていない組織員とのあつれきも大きくなることは避けられない。

国民は、警察が健全になり、治安を守ることを願う。それには、少数のエリート警察のほかに、治安現場で被害者の無念を晴らす民生警察も待遇されなければならない。南極の海をペンギンが独占したなら、ペンギンだけでなく海の生態系全体がどれほど大きな犠牲を払うことになるのかは明白だ。

cha@donga.com