25日死去した小説家・崔仁浩(チェ・インホ)さんは、母親が老年になってから化粧し始めたと話した(「崔仁浩の因縁」アールエイチコリア)。姉が住む米国へ行ってきた後、母親は「そこの女の人はみんなこうしている」とし、毎日口紅をつけた。マニキュアまでつけた。37歳で崔さんを産んだ母親が灰色のトゥルマギ(伝統の着物)を着て学校に来たら、友達はお婆さんに誤解した。崔さんは、子供の時は化粧しない母親が恥ずかしかったが、年取ってからは老いた母親が毎日化粧するのが恥ずかしかったと告白した。
◆シン・グ、ソン・スク主演の演劇「父親と私と紅梅と」は、肝臓がん末期の父親が亡くなる前に、家族と過ごした時間を淡々と描いている。兄がソウル大学に入学するや否や、父親はすぐソウルから江原道(カンウォンド)へ引越し、次男の「私」を農業高校に進学させた。その父親が私はいつも不満だった。もう父親は精神がはっきりしていない。母親は「あんたをそばに置いておきたくてそうしたのだ」と静かに話してくれる。40年間の労働で疲れきった父親をおんぶして、私は田舎屋の紅梅の木と月を眺めながら、思い出の片時を庭に刻む。
◆性徹(ソンチョル)僧侶は出家前に産んだ唯一の血肉の娘(後日、ブルピル僧侶)を13歳の時に初めて見るや否や、「行け、行け!」と冷たく追い払った(「永遠から永遠へ」、キムヨンサ)。数年後、再会した娘に生きる理由を聞いたら、「幸せのために」という返事が返ってくる。性徹僧侶は、「幸福には永遠な幸福と一時的な幸福があるんだ。すると、お前はどの幸福のために生きるつもりかい」と聞き返す。ブルピル僧侶はこの言葉を聞く瞬間、出家を決心したという。俗世との因縁を絶った性徹僧侶だったが、娘を自分が考える幸福の道へ導いたのだ。
◆親と子は、もしかしたらお互いについて最も知らない仲かも知れない。チェ・インホさんは母親が子供たちのために若さを献納し、亡くなる前にやっと女性として生きていたことに気づいたという。崔さんは母親に再会しただろう。彼は望み通りに母親の顔にきれいに化粧をしてあげているだろうか。
ソン・ヒョリム経済部記者 aryssong@donga.com