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[オピニオン]ミラン・クンデラ、亡命と逃避

[オピニオン]ミラン・クンデラ、亡命と逃避

Posted October. 02, 2013 03:05,   

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チェコ出身で1975年にフランスに亡命したミラン・クンデラ(84)は、韓国の読者が特に愛する外国の作家だ。1968年のプラハの春、歴史の重みに苦しむ4人の男女の愛の物語を描いた「存在の耐えられない軽さ」が代表作だ。この作品は、1988年に国内に初めて翻訳されて以来、70万部以上売れた。ダニエル・デイ=ルイスとジュリエット・ビノシュが主演した映画でも馴染みがある。最近、ミンウム社がミラン・クンデラ全集15巻を刊行した。フランス国外で彼の全集が出たのは初めてだ。

◆祖国チェコでは、彼に対する評価は交錯する。チェコの老齢世代は、クンデラを共産独裁政権の下で苦しむ民族を見捨てた不届きな作家と見る。クンデラの小説のうち多くがチェコで読むことができない。母国語でなくフランス語で作品を書いたことも批判の対象だ。

◆チェコの若い世代は違う考えだ。毎年ノーベル文学賞の候補に名前が挙がる作家の業績に尊敬を示し、新しい文化と言語を通じてさらなる故郷を見いだした点も肯定的に見ている。チェコ観光庁の韓国支社長、ミハイル・プロチャッカ氏は、「クンデラに対する否定的な感情はつまらないことだ。辛い時代を生きてきた人々の挫折感が投影されたにすぎない」と話した。クンデラは豊富な知識と辛らつなユーモアで、残酷な歴史のはざまに閉ざされた人々の悲劇と心理を絶妙に描き出した。これは、作家が耐えた時代状況と体験から得られたものだ。

◆「クンデラは、小説がパンと同様、人間にとってなくてはならないことを証明した作家だ」。詩人ルイ・アラゴンがクンデラを評価した言葉だ。チェコの人々の彼に対する複雑な視線は、「20世紀に悲劇的な歴史を持つ弱小国出身の大作家」という点に相通じる。時代背景への苦悩なく、果たして彼の選択が疲れた亡命なのか、安全な逃避なのか、判断し難い。過ぎ去った歴史に対して単なる二分法で接近する韓国の「判断の軽さ」を反省させられる。

高美錫(コ・ミソク) mskoh119@donga.com