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[オピニオン]「破壊的略奪行為」の受動喫煙

[オピニオン]「破壊的略奪行為」の受動喫煙

Posted November. 18, 2013 03:11,   

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朝鮮王朝の正祖(チョンジョ)は、ヘビースモーカーだった。正祖の文集「弘齋全書」では、過度なほど、タバコのことを褒め称えている。「火気で寒痰を攻撃し、詰まっていた胸が自ずとすっきりした。…政治の得と失を深く考える時、こんがらがって戸惑っている気持ちを、澄んだ鏡で照らし、要領を得させることも、ほかならぬその力だ」。全国的に喫煙の奨励運動を展開しようともした。「(タバコを)わが国の民に施し、恩恵と共に効果を広めさせ、天地が人を愛する心に少しでも報いようとする」

◆西洋でも、タバコは一時、洒落や知性の象徴だった。フランスの実存主義哲学者・ジャンポールサルトルは、「あなたの人生において最も重要なことは何ですか」という質問に、「たぶん、生きることとタバコを吸うことを含めた全てのことでしょう」と答えた。「理由無き反抗」のジェームズ・ディーンは、皮の服にタバコをくわえた姿で、反抗児のシンボルとなった。カウボーイの帽子をかぶり、タバコをくわえた広告のように、タバコは男性性を象徴する重要な道具だった。

◆しかし、1954年、タバコの煙からベンゾピレンという発がん物質がみつかり、状況は急変した。その年に、米国の肺がん患者がタバコ会社を相手に訴訟を起こした。その後、数十種の発がん物質や数千種の科学物質が追加で見つかった。1998年、米国のタバコ会社が、敗訴以来、喫煙者らの勝訴が続いている。わが国も1976年、タバコの箱に健康警告文を入れ始めて以来、禁煙政策は日々強まっている。

◆最近、国会で地方自治体が禁煙通りの指定を義務付けさせる法案を発議した。喫煙者らは、過度な規制だと反発しており、取締りの実効性も疑問だ。しかし、どうすることもできないじゃないか。200数年前の正祖をつれてくるわけにもいかず、立ち込めているタバコの煙の中で、哲学を論じていたフランス・パリのカフェでも、すでにタバコの煙が消えたのを。サルトルは、タバコを「破壊的所有行為」と褒め称えた。しかし、喫煙者らは屋内外を問わず、自分の「哲学的行為」がやや他人の健康を害する「破壊的略奪行為」になりうることを、真剣に悩んでみてほしい。

キム・ジェヨン社会部記者 redfoot@donga.com